上海市静安区江寧路街道にある託児所で遊ぶ子どもたち。(2022年9月27日撮影、上海=新華社記者/劉穎)
【新華社北京8月15日】中国では、「二人っ子政策」の施行に伴い、育児理念を転換する家庭が増えている。乳幼児保育に対する需要は高まり続け、国策による積極的で強力な支援と相まって、中国の保育産業は急速に発展し、保育施設の数も急増している。
国家衛生健康委員会人口監測・家庭発展司の楊金瑞(よう・きんずい)副司長はこのほど北京市で、現在、中国の保育サービス提供施設は7万5千カ所以上に上り、受け入れ数は360万人を超え、利用率は6%に達したと述べた。
北京市在住の子どもを預ける親は、「居住区近くの普恵性幼稚園(公立幼稚園と公的基準を満たした私立幼稚園)には、専任スタッフによるケアが受けられる託児所が設けられている。自宅からわずか10分の距離にあり、料金も手頃で、育児上の課題が解決されたほか、祖父母の負担も大幅に軽減した」と語る。仕事と育児の両立のため、子どもを2歳半から託児所に入れたが、各クラスでは子ども20人に対し、幼稚園教師4人と、生活指導員が配置され、「子どもはここ半年で、社交能力や自律能力が大幅に向上したほか、古詩の暗唱や英会話、数を数えることなどもできるようになった」と話す。
一方で、託児所の子どもたちは幼いため、口論やけがが発生することもある。河北省石家荘市の梁(りょう)さんは、子どもを自宅近くの託児所に通わせたが、集団生活の中ではウイルスが広まりやすく、3歳以下の子どもが病気になることも多いという。また、普恵性幼稚園の変化形である託児所は、専業の幼稚園には専門性で及ばないほか、自宅からもほど遠く、料金が高いなどの課題があると指摘する。
保育市場の発展の見通しは明るいが、依然として多くの課題に直面している。高額料金に加え、業界基準や関連資質が曖昧であることや、サービスの質にばらつきがあることも、現在の保育産業が発展する上での問題点となっている。
こうした問題を解決するため、政府はここ数年、保育サービスに対する政策支援を徐々に強化。さまざまな補助金や支援政策などを通じて保育業への参入を奨励し、発展を後押ししている。また、「3歳以下乳幼児ケアサービスの発展促進に関する指導意見(ガイドライン)」「介護・保育サービスの健全な発展促進に関する意見」を相次いで発表し、保育サービス発展のための基本原則や重要任務、支援政策、保障措置を打ち出した。さらに、中国は2020~23年にかけ、中央予算36億元(1元=約20円)を投じ、地区レベル以上の総合保育サービスセンター48カ所を新設する。
政府による保育サービスへの注力に伴い、今後も前向きな政策の増加や保育施設の資質審査の強化、教員研修の継続的な改善が見込まれる。保育産業への投資を多く呼び込み、市場にさらなる活力も与える。また、科学技術の進歩に伴い、デジタル技術が保育サービスの分野にも徐々に浸透し始めており、新たな発展の機会をもたらすことも期待される。
乳幼児の育児と成長は多くの家に関わっている。保育サービスは家庭のニーズに応えるだけでなく、社会的、経済的価値も有するが、中国の保育市場はまだ発展の初期段階にあり、多方面からの支援が必要とされている。近い将来、より規範化された質の高い保育サービスが社会のニーズに一層応え、家庭での出産、育児、教育の負担を継続的に軽減し、子どもの成長に良好な環境が提供されることになる。(記者/彭純、許芸潁)pagebreak
安徽省滁州(じょしゅう)市の滁州城市職業学校で行われた第1回保育サービス技能コンテスト。(7月8日撮影、滁州=新華社記者/曹力)pagebreak
上海市静安区江寧路街道にある託児所で遊ぶ子どもたち。(2022年9月27日撮影、上海=新華社記者/劉穎)pagebreak
浙江省杭州市西湖区にある北山街道保育センターでゲームを楽しむ幼児と教員。(2022年11月1日撮影、杭州=新華社記者/江漢)pagebreak
浙江省杭州市西湖区にある北山街道保育センターでゲームを楽しむ児童と教員。(1月12日撮影、杭州=新華社記者/江漢)pagebreak
山東省済寧市任城区にある託児所の広場で遊ぶ子どもたち。(資料写真、済寧=新華社記者/張昕怡)