中国で「社区食堂」が人気、老若2世代を引き付ける秘密とは

中国で「社区食堂」が人気、老若2世代を引き付ける秘密とは

新華社 | 2023-08-11 10:13:22

   杭州市上城区復興里社区の健康食堂の外観。(資料写真、杭州=新華社記者/呉帥帥)

   【新華社北京8月11日】中国各地で最近、社区(コミュニティー)住民向けに栄養バランスの取れた食事を安価で提供する「社区食堂」が人気を集めている。浙江省杭州市西湖区北山街道の食堂は午前10時半には行列ができるほどで、高齢者だけでなく若者の姿も多く見られる。

   社区食堂は当初、高齢者食堂と呼ばれ、高齢者への食事サービス提供が目的だった。各地の民政部門が食堂の建設や高齢者の利用に助成金を出し、高齢者が手頃な値段で栄養豊富な食事が取れる仕組みが整えられた。ここ数年は利用者の対象を高齢者以外にも拡大する食堂が増え、多くの若者が利用するようになった。

   社区食堂には値段の手頃さに加え、健康的な食事が取れるという利点があり、テイクアウトやファストフードで食事を済ませていた若者が集まるようになった。北京、上海、広州、深圳のような大都市や杭州などの主要な地方都市では、ファストフード店の1食当たりの値段が30元(1元=約20円)前後なのに対し、北山街道の社区食堂は野菜料理が1品4元、肉や魚を使った料理が1品6元で「17元で肉・魚2品、野菜2品」などの定食もある。北京市石景山区の社区食堂は50グラム当たり2・48元で提供し、値頃感を求める高齢者だけでなく、ホワイトカラー層からも絶大な支持を集めている。社区食堂は食材が衛生的で、栄養豊富なメニューがそろい、出来たてが食べられるほか、高齢者の味覚を考慮して全体的に薄めの味付けになっており、油や塩分、添加物が多いテイクアウトの食品より健康的であることも人気の理由となっている。

   社区食堂を利用したことがある女性からは「食事はおいしくて値段も手頃。メニューも健康的で、奥の厨房エリアでシェフが調理しているところも見えて清潔感がある。1人当たり20元以内で肉・魚料理2品と野菜料理1品が食べられ、家庭の味も楽しめる。今後も頻繁に行きたい」との声が聞かれた。

   多くの社区食堂が独自の特色を打ち出している。杭州市上城区復興里社区の「健康食堂」の責任者によると、最近は健康にこだわる客層をターゲットに28元のプレミアム菜食セットを販売。客の7割は若者だという。同区にある南星街道の社区食堂は文化イベントスペースとして利用され、料理教室などを開いて地域住民の生活に溶け込んでいる。上海市徐匯区漕河涇街道の社区食堂では、高齢者とホワイトカラー層それぞれの食事のピーク時間帯に合わせて、ご飯の炊き加減を調整。高齢者の食事のピーク時間帯を過ぎると、若者が好む「ピリ辛」の炒め物をショーケースに並べる。

 高齢者への思いやりから始まった小さな社区食堂は、次第にサービス提供範囲を若者へと拡大し、大きく年の離れた2世代が集まる場となっている。(記者/李卓璠)pagebreak

   河北省雄安新区南文営社区の「社区食堂」で料理を用意するスタッフ。(5月23日撮影、雄安=新華社記者/朱旭東)pagebreak

   河北省雄安新区南文営社区の「社区食堂」で食事をする住民。(5月23日撮影、雄安=新華社記者/朱旭東)pagebreak

   上海市徐匯区の天平路街道にある社区食堂の前に置かれた当日のメニュー表。(資料写真、上海=新華社記者/呉振東)

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