三星堆遺跡の玉器にみる中国の他地域文化との共通項

三星堆遺跡の玉器にみる中国の他地域文化との共通項

新華社 | 2023-08-09 11:12:43

   3日、三星堆博物館新館に展示された玉器。(成都=新華社配信/余嘉)

   【新華社成都8月9日】中国四川省広漢市の三星堆(さんせいたい)遺跡は国内で玉器が最も多く出土している遺跡の一つであり、美しい玉には、中国文明の深遠な遺伝子が含まれている。

  三星堆博物館の朱亜蓉(しゅ・あよう)副館長によると、同遺跡からはこれまでに2千点以上の玉器が出土している。三星堆の人々は、玉璋(ぎょくしょう)や玉戈(ぎょくか)、玉琮(ぎょくそう)、玉璧などを、天地や山河を祭り、神々や祖先と交信するための重要な祭器や媒体と見なし、玉をもって天を祭り、神に通じるという思想を持っていた。

  1934年に三星堆遺跡の発掘調査資料を読んだ現代中国の文学者・歴史家の郭沫若(かく・まつじゃく)は既に、「玉璧や玉璋、玉圭(ぎょくけい)はいずれも華北と華中で発見されたものに似ている。これこそ古代西蜀と華中、華北に文化的接触があったことの証明になる」と考えていた。

  郭沫若が三星堆に抱いた「第一印象」は、その後のさらなる発見や研究によって証明され続けた。成都金沙遺跡博物館の王方(おう・ほう)副館長兼研究員は、三星堆の玉器のうち大半の種類は、中国の他の地域の文化を受け継ぎ、参考としたもので、それらが一つの流れとなって古代中国の玉文化の華麗な大河を形成していると考えた。王氏は「玉璋の形状と文様は河南省の二里頭文化と陝西省の石峁(シーマオ)文化の影響を受けており、玉戈の造形は二里岡文化や湖北省の盤竜城遺跡、河南省安陽市の殷墟(いんきょ)、江西省新幹県大洋洲鎮の商代墓葬から出土した玉戈と似ている。有領玉璧は殷墟や大洋洲鎮の商代墓葬から出土した同種の器物と類似している。ほとんどの玉琮の造形的特徴には、西北地区の斉家文化の典型的な特徴がみられる」と述べた。

  王氏は、三星堆遺跡の玉器は基本的に祭祀坑から出土していると説明。これら格式が比較的高く精巧な作りの玉器の多くは実用品ではなく、神を祭り、神に通じるという役割を持った、古蜀王国の重要な宗教・祭祀活動と密接な関係がある礼器であり、中国の大地における他の同時期の遺跡から出土した玉器の用途とも一致しているという。

  北京大学考古文博学院の孫華(そん・か)教授は、三星堆の玉器の種類や形状、用途は黄河中下流域や長江中下流域のものと類似しており、このことは中国文明の豊かな多様性と多元的一体性を実証しているとの認識を示した。(記者/王丁、童芳)pagebreak

   三星堆博物館新館に展示された獣面鳳鳥文玉方座。(7月26日撮影成都=新華社記者/王曦)pagebreak

   三星堆博物館新館に展示された玉器。(7月26日撮影成都=新華社記者/王曦)pagebreak

   三星堆博物館に展示された青銅亀背形網格状器。(7月26日撮影成都=新華社記者/王曦)

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