【新華社長沙8月4日】提唱10周年を迎えた「一帯一路」共同建設構想が、中国とアフリカの協力に新たなチャンスをもたらしている。
世界的に有名な花卉(かき)の産地であるケニアは、有数の生花輸出国でもある。中国向けの輸出も、直行便の増便や通関の円滑化を受け、増加の一途をたどっている。ナイロビ近郊のバラ農園で現地時間午前1時に切られたバラは1時間後、ナイバシャ湖のほとりで車両に載せられ、グレート・リフト・バレーに沿ってナイロビ空港まで運ばれる。午後3時に中国南方航空の便で8700キロ離れた中国湖南省長沙市へと出発し、北京時間の翌早朝に長沙黄花国際空港に到着。同空港の税関がアフリカ産品に向けて設けた「グリーンルート(優先レーン)」で、最速30分で抜き取り調査を終え通関を完了する。収穫から1日でアフリカから中国に届いたバラは、ケニア産生花の重要な集散地の一つである長沙市の高橋大市場から北京や上海、広州などに出荷される。
高橋大市場は大型総合卸売市場で、テナント数は9100店舗を数える。22年の対アフリカ貿易額は31億元(1元=約20円)と、前年の4倍に増えた。マダガスカルの精油、ザンビアの油絵や宝石、エチオピアのコーヒー、ジンバブエの木彫り、南アフリカのワインなど、アフリカ各国の特産物が手に入る。アジア・欧州・アフリカ貿易投資連合促進会の蘇軍平(そ・ぐんへい)会長によると、中国はアフリカの対中農産物輸出に向けた優先レーンを積極的に設置し、対象品を広げており、エジプト産オレンジ、アボカド、ツノメロンなどのアフリカの果物が相次いで中国市場に出回るようになっている。
アフリカ産コーヒーも中国人の生活に浸透しつつある。高橋大市場の22年のコーヒー売上高は10億元。コーヒー豆の販売量は2千トンに上り、うちアフリカ産が40%を占める。同市場のある雨花区は、アフリカでの直接調達から国内での加工、ブランド育成、販売までを統合し、コーヒーの取り扱いコストを30%引き下げた。
中国への輸出はアフリカの農家や輸出業者の間で話題になっている。長期にわたり欧米市場に依存してきた栽培者は、新興の中国市場に販売を広げることで、より高く安定した収入を得られる可能性がある。
エチオピアのコーヒー加工・輸出大手のムレゲは、世界20以上の国・地域に市場を広げている。ここ3年は中国向け輸出を大きく増やし、多くの中国の顧客を獲得した。コーヒー品質管理担当副部長のジェマル・アブラル氏は「中国のコーヒー市場はここ10年で急成長し、『クール』な飲料としてコーヒーを飲む若者が増えている。中国市場の開拓を望んでいる」と期待を示した。