【新華社イスラマバード8月4日】パキスタンのマティアリ-ラホール直流送電プロジェクトは、中国送電大手の国家電網が投資、建設、運営するパキスタン初の高圧直流送電プロジェクトであり、「一帯一路」共同建設の重要な先行試験プロジェクト、中国・パキスタン経済回廊(CPEC)の枠組み下で実施された初の送変電プロジェクトでもある。2021年9月に商業運用を開始した。
パキスタン・マティアリ-ラホール直流送電プロジェクトのラホール変電所で、敷地内を巡回する同変電所中国側当直リーダーの李守金(り・しゅきん)さん(右)とパキスタン側当直リーダーのズバイル・トゥファイルさん。(7月4日撮影、ラホール=新華社配信)
交直変換器はプロジェクトの変電所で最も重要な設備の一つであり、研究開発と生産はラホールと同じく千年の歴史を持つ中国の古都、陝西省西安市で行われた。
送電設備メーカー中国西電電気の趙啓(ちょう・けい)総経理によると、同社がマティアリ-ラホール直流送電プロジェクトに技術的ソリューションを提供したのは2014年12月。業界をリードするブランドの実力と直流送電製造技術、市場実績を背景にプロジェクトのマティアリ変電所とラホール変電所の交直変換器の落札に成功した。
パキスタン東部は年間を通じて気温が高く、プロジェクトの送電端と受電端の変電所の立地条件も非常に劣悪だった。最高気温が50度を超えるだけでなく、一年中乾燥して雨が降らず、砂混じりの風が吹き、紫外線も強かった。中国西電電気の傘下企業、西安西電変圧器の設計チームは、成熟した交直変換器設計プランを活用した上で技術専門家と中枢を担う設計者らが主要部品の構造とスリーブ取り付け方法などの最適化と技術改良を実施。設計プランを洗練させるとともに技術性能を向上させ、製品の信頼性を確保した。
中国西電電気の傘下企業、西安西電変圧器の工場で働く従業員。(7月12日撮影、西安=新華社配信)
中国の西安とパキスタンのラホールという二つの古都は、「電気」の絆で結ばれ、互いの距離を縮めた。
プロジェクトの中国側責任者を務める山社武(さん・しゃぶ)氏によると、プロジェクトは高圧直流送電線の建設を通じてパキスタン南部の電力を北部に送る「大動脈」の安全かつ安定した運営を支え、送電時の電力損失や送電網の事故、停電などのリスクを効果的に削減し、より安定的で信頼性の高い電力供給を実現した。供用開始後の安定運営日数は既に千日を超え、累計で268億キロワット時を送電。ラホール地区1千万世帯の電力需要を効果的に満たし、地元経済の発展に貢献している。
在パキスタン中国大使館のデータによると、中パ経済回廊は22年末時点でパキスタンに計254億ドル(1ドル=約143円)の直接投資をもたらし、計23万6千人の雇用を創出。高速道路510キロ、電力8千メガワット、基幹送電線886キロの整備を支援した。
パキスタン・マティアリ-ラホール直流送電プロジェクトのラホール変電所の中央制御室で勤務に就くパキスタン側当直リーダーのズバイル・トゥファイルさん(手前)。(7月4日撮影、ラホール=新華社配信)