科学技術とロマン、創意あふれる中国の大学合格通知書

   北京科技大学の合格通知書。（資料写真、北京＝新華社配信）

　 【新華社北京７月２１日】中国各地の大学はこのところ、相次いで２０２３年の合格通知書を発行している。学問や芸術の雰囲気に満ちたものあり、科学の精神にあふれるものあり、先人への情愛の詰まったものありで、深い意味が込められた創意あるデザインが多く、ネット上で話題を呼んでいる。

   北京科技大学の合格通知書は紙の代わりに「５Ｇ鋼」と呼ばれる鋼鉄が使われている。５Ｇ鋼は同大と中国鉄鋼大手、首鋼集団の合同チーム６００人が１０年をかけて開発したもので、厚さ０・０７ミリまで薄くすることが可能。同技術における外国の独占状態を打ち破り、大国としての鋼鉄の研究力、鍛造レベルを示したと言われる。pagebreak

   ハルビン工程大学の合格通知書ケースには、２３ピースの立体パズルが入っている。（資料写真、ハルビン＝新華社配信）

　 黒竜江省のハルビン工程大学は今年、創立７０周年のカスタム版「空母」合格通知書を製作した。通知書ケースには空母の甲板のシルエットが印刷されており、箱の中には２３ピースの立体パズルが入っている。通知書を受け取った学生は自分で空母を組み立てることで、同大が持つ船と海の特色を感じることができる。pagebreak

   復旦大学の通知書は「新開化紙」でできている。（資料写真、上海＝新華社記者／潘旭）

　 上海市の復旦大学は、２０２３年度の学部生合格通知書に中国の伝統文化と同校の研究成果を融合させた「新開化紙」を採用した。「開化紙」は浙江省開化県で明代に誕生した伝統的手すき紙の至宝で、清代初期の多くの貴重な書物に使われている。復旦大学の研究チームがここ数年、各方面との共同研究を通じ、長らく失われていた開化紙の製造工程を復活させることに成功した。この技術で作られた紙は物理的にも化学的にも過去の開化紙に近く、保存寿命は千年を超えるという。pagebreak

   ハルビン工業大学の合格通知書に入っている特殊なしおり。（資料写真、ハルビン＝新華社配信）

　 黒竜江省のハルビン工業大学の合格通知書には、同大の独自開発による特殊な塗装が表面に施されたしおりが１枚入っている。この塗装の材料は耐放射線性、低揮発性、高温・低温交互変化耐性などの性能を備え、火星探査機「天問１号」で掲げられた中国国旗にも使われたことから「宇宙レベルのロマン」と称されている。pagebreak

   中国科学院大学の学部生合格通知書。（資料写真、北京＝新華社配信）

　 北京市にある中国科学院大学の学部生合格通知書には、大豆の種７粒からなる北斗七星の図柄が描かれている。これは中国科学院の研究チームが７年を費やして精選し、育てた耐塩性新品種で「東生１１８」の名を持つ。pagebreak

   北京理工大学のメタバース合格通知書。（組み合わせ写真、資料写真、北京＝新華社配信）

　 北京理工大学はこのほど、全国初となるメタバース合格通知書を発表した。通知書が入ったケースを開けると二次元バーコードが現れ、通知書を受け取った学生はコードをスキャンし、同大のメタバース空間に入ってデジタルキャンパスを没入体験することができる。pagebreak

   蘭州大学の学部生合格通知書。（資料写真、蘭州＝新華社配信）

　 甘粛省にある蘭州大学の学部生合格通知書は、初の「食べられる通知書」とネットユーザーから呼ばれている。通知書には同省蘭州市の代表的ご当地グルメ、牛肉ラーメンの引換券が１枚付いており、新入生は入学シーズン中に券面に記載されている店を選んで蘭州グルメを初体験できるようになっている。pagebreak

   東南大学が公開した２０２３年版合格通知書。（資料写真、昆明＝新華社記者／王安浩維）

　 江蘇省南京市の東南大学はこのほど、イ族の刺しゅうをテーマにした２０２３年版合格通知書を公開した。新入生全員の通知書に、雲南省イ族の女性職人が刺しゅうした学内ＩＣカード用手作りケースが付いている。国家級無形文化遺産であるイ族刺しゅうの発展を後押ししようと大学側が発案し、合格通知書への採用が決まった。（記者／沈氷潔）