障害を乗り越え芸術家に、夢をつかんだ中国女性 貴州省

障害を乗り越え芸術家に、夢をつかんだ中国女性 貴州省

新華社 | 2023-07-11 09:16:35

   自宅で刺しゅう絵画の作品を制作する凌潤芝さん。(5月19日撮影、貴陽=新華社記者/周宣妮)

   【新華社貴陽7月11日】中国南西部の山岳地帯、貴州省貴陽市白雲区沙文鎮扁山村に住む凌潤芝(りょう・じゅんし)さん(41)は、自宅で車いすに座りオンラインで中国現代山水画を学んでいる。墨をすり、水を加え、色を足してしばらくすると紙に潑墨(はつぼく、水墨画の技法の一つ)で表現された自然の風景が生き生きと浮かび上がる。

  凌さんは6歳の時に背中が大きく膨らみ、病院での診断の結果、二分脊椎症(にぶんせきついしょう、生まれながらにして脊椎の形成不全があり、さまざまな神経障害を起こす先天疾患)という病気であることがわかった。家族は凌さんに手術を受けさせたが手術は失敗し、下半身の感覚は失われ、歩くことさえできなくなった。

  凌さんは当時を振り返り「あの頃は目の前が真っ暗で、孤独と恐怖が付きまとっていた」と明かし、「家にはまだ車いすがなく、自宅ではほとんど背もたれのある腰掛けに座っているしかできず、少しずつ移動する際にもよく手足を擦りむいていた」と話した。姉は、孤独を感じないようにと、読み書きを教えてくれたり、中国の伝統的な美人画を買ってきて壁に貼ってくれたという。凌さんは紙とペンを取り出し、模索しながら美人画を模写し始めた。「本や絵画の世界に浸ることで、自分を覆っていた暗闇を払拭することができた」とうれしそうに語った。

  2003年にたまたま本の中で美しい刺しゅうのデザインを目にした凌さんは、中国の山水画に描かれる花や鳥、虫、魚などを刺しゅうで表現することを思いついた。刺しゅうを習いたての頃は、いつも手にけがをしていたが、絵画の基礎があったためすぐにコツをつかんだ。「刺しゅうの技術を身につけてからは、まるで見えない翼を得たようです」。

  凌さんはさまざまな障害者職業技能競技大会に継続的に参加するようになり、これまでに40余りの賞を受賞した。「多くの賞を得て自信がつき、性格も以前に比べ明るく、楽観的になった」という。将来は「自分の手で美しいものを人に伝えるためアトリエを立ち上げ、より多くの人に中国伝統文化を知ってもらい、この貴重な伝統技術を継承していきたい」とその夢を語った。(記者/周宣妮)pagebreak

   障害者職業技能競技大会の参加証書を見せる凌潤芝さん。(5月19日撮影、貴陽=新華社記者/周宣妮)pagebreak

   自宅で山水画を描く凌潤芝さん。(5月19日撮影、貴陽=新華社記者/周宣妮)pagebreak

   凌潤芝さんの書道作品。(5月19日撮影、貴陽=新華社記者/周宣妮)

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