【新華社北京7月8日】中国外交部の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は7日の定例記者会見で、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長が福島原発の放射能汚染水処理審査評価に参加した専門家の間に包括報告書に対して意見の相違があることを認め、審査に参加した中国の専門家が報告書に遺憾の意を示していることについてコメントを求められ、次のように述べた。
IAEAが性急に発表した報告書は、評価作業に参加した各国の専門家全員の意見を十分に反映しておらず、結論には限界性と一面性があり、国際社会の懸念を解消していない。事務局長は海洋放出を裏書きするものではないと表明している。中国は日本が報告書を海洋放出の「通行証」とせず、計画強行をやめ、責任ある方法で汚染水を処理するよう促す。
日本の官僚が自国のトリチウム排出基準は他国よりはるかに厳しいと発言したことについては次のように述べた。
日本は福島原発事故の汚染水と世界各地の原発の正常運転による排水を同列に論じている。これは概念のすり替えで、世論をミスリードするものだ。
専門家だけでなく、一般市民でも想像に難しくないように、福島原発事故の溶解した原子炉炉心に接触した放射能汚染水と、正常運転している原発の炉心に直接接触していない排水は本質的に異なる。発生源、放射性核種、処理の難度が異なり、根本的に比較できない。特にIAEAは日本の浄化設備の有効性と長期的信頼性を評価しておらず、今後30年間、全ての放射能汚染水が処理基準に達することは保証できない。原発の正常運転による排水を持ち出し、海洋放出の誤った決定を正当化しようとする日本は、科学の看板を掲げて国際社会をミスリードしている。
われわれは日本が放射能汚染水の美化に苦心していることに留意している。トリチウムを無害な印象のキャラクターにしたり、「処理水」という偽科学用語を発明したりしている。日本の目的はただ一つ、放射能汚染水の危害を薄めることだ。しかし、日本がいかに正当化しようとしても、国際社会でごまかしは効かない。放射能汚染水は放射能汚染水だ。日本が何と言おうと、放射能汚染水を正常な水に変えることはできないし、海洋放出の強行がもたらす結果と責任を逃れることもできない。
覆水盆に返らず、限りなく災いを残す。われわれは日本が責任転嫁の試みをやめ、国際社会の正当な懸念に誠実に向き合い、海洋放出計画を停止し、科学的かつ安全で、透明性が高い、話し合いによる方法で放射能汚染水を適切に処理するよう促す。