6月28日、第14回夏季ダボス会議の会場。(天津=新華社記者/毛振華)
【新華社天津7月5日】中国天津市で6月27~29日、世界経済フォーラム(WEF)が主催する第14回夏季ダボス会議が開かれた。4年ぶりの中国での開催であり、国内外の出席者の多くが、中国の戦略は世界経済の回復のため不安を一掃し、絶えることのない新たな原動力をもたらすとの見方を示した。
国連が5月に発表した報告書「世界経済の情勢と展望」は、世界経済の回復見通しは依然暗いとし、地政学的緊張や世界的な需要低迷、金融・財政政策の引き締めにより、世界の貿易は圧力にさらされていると指摘した。
会議期間中、「世界経済はどこへ向かうのか」という問いに対し、多くの出席者が中国に眼差しを向けた。WEFのシュワブ会長は「中国が掲げる年間経済成長率5%前後の目標は心強い」とした上で、中国は今年上半期、経済や社会、外交で目覚ましい成果を上げたと述べた。
中国経済は今年に入り、大幅な回復傾向が鮮明となった。一部の国際機関・組織も今年の中国の経済成長率予測を上方修正している。
多くの企業家は、中国の見通しを示すキーワードとして「自信」を挙げた。商船三井の安藤美和子執行役員は「中国の経済成長は徐々に回復している。企業にとって中国市場は巨大な発展潜在力を持つ」と述べた。工業用ミシンで数十年にわたり中国市場を開拓してきた天津市の日系企業ペガサス(天津)ミシンの岡田義秀総経理は、中国の発展に対する自信に基づき、天津の研究開発センターを稼働させたと説明。親会社の重要な研究開発拠点であり、今後も中国事業を拡大していく方針を示した。
英豪資源大手リオ・ティント中国エリアの任浜彦(じん・ひんげん)最高経営責任者(CEO)は「中国経済の力強い発展は、世界に非常に前向きなシグナルを送っている」と指摘。1973年に初めて鉄鉱石をオーストラリアから上海に輸送した同社にとって、今では中国が最大の市場であり、重要な戦略的協力パートナーでもあると語った。
中国はここ数年、イノベーションやデジタル化、低炭素などをめぐるモデル転換を加速し続け、普遍的価値を持つ発展の道を模索している。中国のモデル転換は、世界の経済成長に力強い原動力を継続的にもたらす上でもプラスになっている。
天津市のバイオ医薬企業、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)の宇学峰(う・がくほう)董事長は、イノベーションは前進の原動力であり、中国経済はモデル転換の中で品質と効率を向上させ、今後はさらに力強い成長エネルギーを放つとの見方を示した。ドイツ自動車大手BMWのヨッヘン・ゴラー大中華圏(グレーター・チャイナ)総裁兼CEOは、BMWグループにとって中国は世界最大の単一市場であり、重要なイノベーションの源泉でもあるとし、同社は中国で既にドイツ以外で最大の研究開発・デジタル化システムを構築したと説明した。
デジタル技術はイノベーションにおいて重要な役割を果たしている。中国電子商取引(EC)大手アリババ・グループ傘下の金融会社、螞蟻集団(アント・グループ)の井賢棟(エリック・ジン)董事長兼CEOは「デジタル技術は中国デジタル経済の飛躍的な発展を推進した」と指摘。2012年に11兆元(1元=約20円)だった中国のデジタル経済規模は22年に50兆元超となり、増加傾向は現在も続いていると語った。
デジタル化とスマート化は世界の新たな産業競争における攻略ポイントであり、乳業の発展にも影響を与えている。乳業大手、蒙牛集団の李鵬程(り・ほうてい)執行総裁は、スマート化が生産効率を高めるとともに品質管理を促進し、産業チェーンの協同とウィンウィンに寄与したと説明。同社がこのほど稼働させた世界初の全スマート化乳業工場では、1人当たりの効率が既存工場の21倍になったと述べた。
グリーン(環境配慮型)・低炭素発展は、中国経済のモデル転換が注力するもう一つの方向性になっている。IT大手、東軟集団(NEUSOFT)の劉積仁(りゅう・せきじん)董事長は「デジタル経済とグリーン経済の盛んな発展は、今後の中国経済に巨大な成長の余地と原動力をもたらす」との考えを示した。
世界経済は現在、多くの逆風にさらされている。シュワブ氏は、世界は部門や地域、国家、文化を超えた協力を強化し、より平和的、包括的で、持続可能な強じんな未来を創造すべきだと述べた。
ベトナムのファム・ミン・チン首相は「世界的な問題を単独で解決できる国はない。世界的な課題は世界的なやり方で対処すべきだ」と語った。(記者/毛振華、宋瑞)pagebreak
6月28日、第14回夏季ダボス会議の会場。(天津=新華社記者/毛振華)pagebreak
6月29日、第14回夏季ダボス会議で議論する出席者。(天津=新華社記者/毛振華)