コートジボワールのアビジャン北西部に位置する、中国企業が建設を請け負ったPK24工業団地。(2022年12月22日撮影、アビジャン=新華社配信)
【新華社アビジャン6月26日】西アフリカのコートジボワールで中国企業が現地の農業発展に一役買った。自然条件に恵まれた同国は西アフリカの重要な農業国。天然ゴムの生産はアフリカ最大を誇るが、加工能力が弱いことで、かつては付加価値の低い原材料しか輸出できず、天然ゴム農家の収入は極めて少なかった。その局面を転換したのが農産品の取引を世界的に手掛ける美蘭集団(香港)である。20年に同国初のゴム一次加工工場を稼働させ、2年後には二つ目の工場を開いた。年間加工能力は26万トンと、同国の年間ゴム生産量の4分の1の規模を誇る。
コートジボワールの農業研究・支援専門職種間基金(FIRCA)のブル・ボナバンチュール氏によると、同国の天然ゴムはかつて、正規の販売ルートの不足からなかなか売れず、買い付け業者の買いたたきが横行、農家の収入に深刻な影響を与えていた。中国企業の加工工場はこれらの農家に、安定した出荷が可能で価格も合理的な取引ルートを提供。農家は販売量を増やし、栽培規模を相次ぎ拡大した。
天然ゴムの加工は中国とコートジボワールの農業協力の始まりにすぎない。22年2月には美蘭集団、湖南建設投資集団、岳陽観盛投資発展などがコートジボワールとの協力プロジェクトの協定を締結、両国の農業分野の協力を引き続き拡大した。関係企業は協定に基づき、コートジボワールに農産物の一次加工工場、中国に高度加工工場を設立する。
湖南建設投資集団の蔡典維(さい・てんい)董事長は、コートジボワールはゴムやパーム油、綿花、大豆、トウモロコシなどの農産物の生産が盛んで、一次加工工場を設立することで、現地の農産物の付加価値を高め、雇用機会を創出し、工業発展を促進、現地の経済社会の持続可能な発展に新たな原動力を注ぐことができると述べた。
美蘭集団の張亮(ちょう・りょう)副総経理は、すでに稼働している加工工場2カ所は1千以上の雇用機会を創出しているとし、建設中の2カ所はさらに1千の雇用機会を提供し、周辺のコミュニティーの経済発展をけん引するとの見解を示した。
コートジボワールと中国の農業協力は現地農村の若者の流出問題も解決した。「中国企業が適正な価格でゴムの買い付けを行うことで、若者が農村に残り、農業栽培に従事したいと思うようになった」とボナバンチュール氏は語った。