第14回中国航空ショーで展示された中国の次世代運搬ロケットの模型とエンジンの実物。(2022年11月11日撮影、珠海=新華社記者/劉大偉)
【新華社北京6月26日】2023年中国商業宇宙飛行発展会議・第2回中関村商業宇宙飛行会議がこのほど、北京で開催された。専門家は会議で、中国は宇宙観光、宇宙バイオ製薬、宇宙ごみ除去、宇宙実験サービスなど、宇宙経済の新しい業態の育成・発展を加速させていると強調した。
中国科学院院士(アカデミー会員)で中国月探査プロジェクトのチーフサイエンティストの欧陽自遠(おうよう・じえん)氏は会議で「商業宇宙飛行の将来性は極めて高い。現在の技術を十分利用して宇宙経済を発展させ、宇宙飛行強国の建設をサポートすべきだ」と述べた。
現在、世界的に見て、優位性を生かした通信、ナビゲーション、リモートセンシングなどの情報サービスが依然として主要業態だ。欧州のコンサルティング会社が発表した「宇宙経済レポート2022」によると、2022年の世界の宇宙経済の総額は4640億ドル(1ドル=143円)で、前年比8%増となった。伸びた分の83%は通信、地球観測、衛星ナビゲーションを利用したサービスを提供する企業によるものだった。
会議に出席した専門家は、現在ますます多くの国が、宇宙産業が新たな競争の場になることを意識し始めていると指摘した。
軌道上の衛星検査場やデータ配信共有プラットフォームなどの基礎サービスプラットフォームの構築、小型化、集積化したナビゲーションチップなどの技術的ブレークスルーに依拠して、中国は絶えず宇宙活用技術の進歩を図り、宇宙経済の新業態を模索し、宇宙産業の規模の効果を高めている。
国務院新聞弁公室が2022年に発表した白書「2021年中国の宇宙飛行」は今後5年間で「宇宙観光、宇宙バイオ製薬、宇宙ごみ除去、宇宙実験サービスなど宇宙経済の新業態を育成、発展させ、宇宙産業の規模の効果を高める」としている。
中国宇宙技術研究院銭学森宇宙技術実験室の侯宇葵(こう・うき)研究員は、通信、ナビゲーション、リモートセンシングなどの総合的活用とモノのインターネット(IoT)、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)などの新興技術を融合させることで、宇宙活用のモデルと形態がますます豊富になっていると述べた。
現在、中国の多くの地域が既存資源とイノベーションの優位性に基づき、宇宙経済の新しい成長点を育てている。宇宙開発の歴史が長い上海は、臨港新エリア衛星研究開発基地、閔行宇宙基地に依拠して、商業宇宙飛行スマートマニュファクチュアリング基地の建設を急ぐとしている。
「宇宙旅行は旅行者の身体的条件に対する要求が高い」、中国初の宇宙飛行士の一人でトレーナーの李慶竜(り・けいりゅう)氏はこう話し、宇宙旅行前の訓練期間は飛行の難度や到達高度によって、数日から数カ月までさまざまなで、旅行者は時間、資金、精力、努力が必要と説明した。
宇宙旅行は地上から近い順に、放物線飛行、高高度飛行、準軌道飛行、軌道飛行に分けられる。会議に出席した専門家は次のように説明した。軌道飛行は宇宙旅行の理想的な状態に近いが、これに比べてコストが低い準軌道飛行の方が先に実現する可能性がある。現在、軌道観光に適した民間用宇宙ステーションなど付帯のシステムがまだ完成しておらず、今後数年で新たな技術的ブレークスルーが見込まれている。
「現在の宇宙旅行市場は民間航空業界の発展の初期段階と非常によく似ており、10年後には宇宙旅行の費用が急速に下がると予想される」、中国商業宇宙飛行発展会議組織委秘書長で中関村領創商業宇宙飛行産業発展連盟秘書長の竜開聡(りゅう・かいそう)氏はこう述べた。