保護と修復を終えた山西省沁水(しんすい)県の湘峪古堡。(資料写真、小型無人機から、太原=新華社記者/曹陽)
【新華社太原6月21日】中国伝統文明の起源は農村にある。中国政府が2012年に立ち上げた伝統村落保護プロジェクトでは、これまでに8155カ村がリストに登録された。
山西省介休市の南荘村もその一つで、長い歴史と豊富な文化遺産を持つ。「口」字形をした住宅が多く、百忍堂や九思堂、中和堂、忠義堂など20軒近くの伝統住宅が中国の「堂」文化を今に伝えている。
伝統村落の保護では、文化遺産を守り、村落の風貌を留めることが優先される。大規模な取り壊しや再開発は避けなければならない。中国住宅・都市農村建設部によると、伝統村落保護プロジェクトで保護された歴史建築や伝統民家は20年末時点で53万9千棟。世界で最も規模が大きく、内容と価値が豊かで、保存状態が良く、生活の中で伝承される農耕文明遺産保護群を形成している。
山西省には伝統村落619カ所、歴史文化名鎮名村111カ所が存在する。同省が12年以降に伝統村落保護を目的に中央財政から得た資金は11億1200万元(1元=約20円)に上る。この3年間は省の財政から2億4千万元を補助金として拠出し、保護活動も効果が見られるようになった。
南荘村の張爾華(ちょう・じか)さんは現在、隣り合う母屋3軒を所有している。5、6年前に梁(はり)に問題が起きた際には中央資金の助成を受けて屋根を修繕した。
家屋の修繕後は、家庭内インフラの改善も欠かせない。中央財政は一部の村落に対し、インフラ改善などを目的とした助成金を1村当たり300万元支給している。張さんの家にも現代的な装飾や台所用品が見られ、上下水道の利用も便利になり、水洗トイレや温風暖房によりクリーンで衛生的な環境が保たれている。ごみの回収も毎日実施されている。
張さんの生活水準の改善は、南荘村の生活に生じた変化の縮図といえる。同村はここ数年、住環境の改善や村民市場の開設、公衆トイレの設置などを通じ、公共インフラを改善している。
伝統村落の保護では産業の振興も重要な鍵になる。産業の支えがあってこそ、住民は安定した穏やかな暮らしを実現できる。住宅・都市農村建設部によると、中国は伝統村落保護プロジェクトを通じ、20年までに省級以上の無形文化遺産4789項目を伝承、発展させた。
農村観光や特色農業の発展も新時代における農耕文明の魅力を際立たせている。南荘村の住民、張永貞(ちょう・えいてい)さんは、定年後に村の観光ガイドを務める。村内に残る古建築では名前の由来、石碑の前では村の古い規約を説明。毎年の受け入れ観光客は1万人を超える。村には観光果実農園もあり、訪れた人は花を愛で、果実を収穫し、ワイン作りを楽しむ。
南荘村を散策すると工事現場を多く見かける。同村共産党支部の張爾鋒(ちょう・じほう)書記は、農耕文化広場や高齢者用スロープなどを建設していると説明。「業態を増やしてこそ、伝統村落を真に活性化できる」と語った。(記者/王学濤)pagebreak
山西省陽城県中荘村の古建築を改造した宿泊施設。(4月5日撮影、太原=新華社記者/王学濤)pagebreak
山西省大同市天鎮県新平堡の古村落を散策する観光客。(4月7日撮影、太原=新華社記者/唐詩凝)pagebreak
山西省陽城県上荘村の無形文化遺産「打鉄花」。(資料写真、太原=新華社配信/李衛東)pagebreak
山西省陽泉市平定県の娘子関(じょうしかん)村。(資料写真、太原=新華社記者/曹陽)