雲南「北上」野生ゾウの今 個体増え群れは二つに

雲南「北上」野生ゾウの今 個体増え群れは二つに

新華社 | 2023-06-08 13:08:14

   西双版納ダイ族自治州景洪市大荒壩村で遊ぶ子ゾウ。(5月9日、小型無人機から、昆明=新華社記者/胡超)

   【新華社昆明6月8日】中国南部の雲南省では2021年、野生のゾウが長距離移動をして世界の注目を集めた。15頭のゾウは110日余りかけて1300キロ以上を移動。最終的に人が誘導して元の場所に戻った。

  群れの故郷、西双版納(シーサンパンナ)ダイ族自治州を訪ね、現在の様子を取材した。長距離の移動をしたのは「短鼻」家族と呼ばれる群れで、旅から戻った後も健康状態は良く、子ゾウも明らかに大きくなっていた。群れは新しい仲間も増えて二つに分かれ、今はそれぞれのグループが別々の場所で暮らしている。

  5月9日の夕方、同自治州景洪市大荒壩村ではアジアゾウ監視員の彭金福(ほう・きんふく)さんが望遠鏡で遠くの山林を見つめていた。「そろそろ山を下りる時間だ」。彭さんが告げると、しばらくして20頭余りが林からゆっくりと姿を現し、スイカ畑で「食事」を始めた。彭さんは接近撮影のためのドローン(小型無人機)を操縦しながら「ゾウは普段、午後5時過ぎに食べ物を探しに出てきて、午前8時、9時に林に戻る」と説明。傍らでは弟子の普永兵(ふ・えいへい)さんが、通信アプリ「微信(ウィーチャット)」で付近の住民に対し「群れに近づかないように」と注意喚起した。

  彭さんと普さんは大渡岡エリアの群れの監視を担当しており、路面や空中でのモニタリングやサーモグラフィーによる監視を通じて群れの動向を把握している。付近の住民への注意喚起のほか、研究機関へもデータを提供する。

  群れの多くは「然然」家族に属しているが「短鼻」家族の7頭も含まれているという。継続的な観測の結果、「短鼻」家族には離脱や復帰をする個体や新たに加わる個体がいることが分かった。数を増やした家族は22年6月時点で二つの群れに分裂し、現在は13頭が普文エリア、7頭が「然然」家族の23頭と共に大渡岡エリアで暮らしている。

  中国国家林業・草原局アジアゾウ研究センターの陳飛(ちん・ひ)主任は「一つの家族は通常8~15頭からなり、最年長のメスが群れを率いて移動や採食、休息している」と話す。群れの個体数が一定規模に達すると、血縁の比較的近い姉妹や母娘が子どもを連れて新たな家族を作り、別の生息地を探すという。

  群れの分裂は中国の野生ゾウの健康的な繁殖を反映している。1976年に150頭に満たなかった同省の野生ゾウの個体数は、2018年の多地点同時モニタリングで約293頭が確認され、21年末には360頭前後にまで増えている。(記者/伍暁陽、趙珮然)pagebreak

   西双版納ダイ族自治州景洪市大荒壩村で採食する「短鼻」家族と「然然」家族のゾウ。(5月9日、小型無人機から、昆明=新華社記者/胡超)pagebreak

   西双版納ダイ族自治州景洪市大荒壩村で採食する「短鼻」家族と「然然」家族のゾウ。(5月9日、小型無人機から、昆明=新華社記者/胡超)pagebreak

   西双版納ダイ族自治州景洪市大荒壩村で採食する「短鼻」家族と「然然」家族のゾウ。(5月9日、小型無人機から、昆明=新華社記者/胡超)pagebreak

   西双版納ダイ族自治州景洪市大荒壩村で、ドローン(小型無人機)を使いゾウの群れを監視するアジアゾウ監視員の彭金福(ほう・きんふく)さん(左)と普永兵(ふ・えいへい)さん。(5月11日撮影、昆明=新華社記者/胡超)

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