「珍しさ」から「日常」へ 中国に根付くタイ料理

「珍しさ」から「日常」へ 中国に根付くタイ料理

新華社 | 2023-06-06 10:28:39

   シェリー・トさんが北京市通州区で営業するタイ料理レストラン「Bird and Buffalo」。(5月13日撮影、北京=新華社記者/夏康静)

   【新華社北京6月6日】結婚を機にタイのバンコクから中国の北京に移り住んだタイ人女性、シェリー・トさんは2021年、故郷の料理が北京で人気を集めていることに目を付け、タイ料理レストラン「Bird and Buffalo(八哥鳥<ハッカチョウ>と水牛)」を開いた。

  シェリーさんは「うちは通州区で最初のタイ料理レストランで、今も地元で一番人気だ」と誇らしげに語る。レモンリーフやレモングラスなどの調味料はすべてタイから輸入し、店舗設計も本人が携わり、他とは異なるタイ風情を演出した。シェリーさんのこだわりは顧客の評価につながり、市街地から離れた立地にも関わらず店は繁盛。多い日で50卓分の客を受け入れ、1日の売り上げが1万元(1元=約20円)を超えるのも当たり前になった。

  2022年末にはタイ商務省が本場のタイ料理を提供する店舗を認定する「タイ・セレクト」レストランにも選ばれた。店の料理は技術や食材、調味料など厳しい基準をクリアした本場の味だと証明された。

  シェリーさんによると、北京ではこの3年でタイ料理レストランの数がほぼ3倍に増えたという。大型商業エリアから小さな路地裏に至る市内各所に、豪華な宮廷料理から素朴な屋台料理までさまざまなスタイルのタイ料理レストランが出現している。

  都市生活情報サイトの「大衆点評」が選んだ「2022年に必ず食べたい」レストランランキングでは、東南アジア料理が西洋料理、日本料理、韓国料理に次ぐ4番目の外国料理になり、中でもタイ料理はその主力を占めた。

  ここ数年は「一帯一路」建設の深化に伴う中国・タイ間の貿易往来や人的・文化交流がますます増え、中国人のタイ料理熱も高まり続けている。珍しさやSNS映えの対象だったタイ料理も今では食材や調味料を買って調理する家庭料理の一部になり、着々と中国に根付き、花開いている。

  タイ国政府観光庁(TAT)のデータによると、同国が今年1~4月に受け入れた外国人観光客859万人余りの約10分の1が中国本土からの旅行客だった。

  中国は過去10年、タイにとって常に最大の貿易相手国であり、2022年の2国間貿易額は前年比3%増の1350億ドル(1ドル=約140円)となった。中国はタイにとって最大の農産物輸出市場でもあり、22年の中国向け輸出額は前年比6%増の126億ドルに上った。

  店名に用いたムクドリ科の鳥、八哥鳥と水牛は、タイで相互扶助の象徴とされている。美味しい料理は文化交流を仲立ちすると考えるシェリーさんは、中国とタイの友好のために「舌の上の懸け橋」を築き、これからもタイの「故郷の味」を中国の消費者に届けていきたいと語った。(記者/夏康静、陳倩慈)pagebreak

   シェリー・トさんが北京市通州区で営業するタイ料理レストラン「Bird and Buffalo」。(5月13日撮影、北京=新華社記者/夏康静)pagebreak

   タイ料理レストラン「Bird and Buffalo」の看板メニューの一つ「トムヤムクン」。(5月13日撮影、北京=新華社記者/夏康静)pagebreak

   タイ料理レストラン「Bird and Buffalo」の店内に飾られている「タイ・セレクト」認定マークと認定証。(5月13日撮影、北京=新華社記者/夏康静)

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