中国人科学者主導プロジェクトで大きな進展、霊長類27種のゲノムデータ公開

中国人科学者主導プロジェクトで大きな進展、霊長類27種のゲノムデータ公開

新華社 | 2023-06-05 13:18:43

   「霊長類ゲノムプロジェクト」の第1期でゲノムデータが公開された霊長類の一部。上段左からベンガルスローロリス、ウンナンシシバナザル、キンシコウ、下段左からキタホオジロテナガザル、マンドリル、ワオキツネザル。(資料写真、昆明=新華社配信/馬暁鋒)

   【新華社昆明6月5日】中国の科学者が主導し、複数の国の科学者が参加する「霊長類ゲノムプロジェクト」の第1期が完了した。国際学術誌「サイエンス」は北京時間2日、論文8本を発表し、テナガザル、ラングール、キンシコウ、メガネザルなど希少・絶滅危惧種を含む霊長類動物27種のゲノムデータを公開した。

  同プロジェクトは、現在地球上で知られている霊長類520種余りのゲノムシーケンスを3期10年間で完成させるのが目的。霊長類各種のDNA配列を決定し、ゲノムマップを作成、人類の「親戚」の遺伝情報を解読して、霊長類の保護、生命科学、医学などの分野の発展に道を開く、大規模な国際的、学際的科学探索プロジェクトとなる。

  同プロジェクトの首席科学者(チーフサイエンティスト)を務める中国科学院昆明動物研究所の呉東東(ご・とうとう)研究員によると、一連の研究成果は霊長類研究の多くの注目領域にまたがっており、①霊長類の系統関係を整理して明確化した②霊長類のゲノム多様性の特徴と進化の歴史を明らかにした③霊長類の大脳、体型、骨格、感覚器官、食性などの複雑な形質の進化のメカニズムを解析した④寒さとリーフモンキーの社会進化の関係を発見した⑤霊長類の種間交雑によって新種が生まれる事象を解析した⑥ヒト以外の霊長類の遺伝的変異をマッピングし、一部の鍵遺伝子の突然変異の潜在的機能を推察した-ことが含まれるという。

  呉研究員は霊長類の重要な結節点となる進化を紹介して、「研究により、霊長類の祖先は夜行性で、昼間に活動するようになるとすぐに赤、緑、青の視覚が進化、熟した果物を識別できるようになり、甘味を感知する遺伝子が変化し始めたことが分かった。遺伝子進化の順序を解析することは、霊長類、特に人類の起源を知るのに役立つ」と話した。(記者/岳冉冉)pagebreak

   2日に発行された学術誌「サイエンス」の表紙。(資料写真、昆明=新華社配信)

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