中国のハイブリッド稲専門家、マダガスカルで活躍

中国のハイブリッド稲専門家、マダガスカルで活躍

新華社 | 2023-06-02 09:52:13

   マダガスカルのムルンダヴァ(Morondava)で地元農家に稲苗の植え替え作業について手取り足取り教える農業専門家の胡月舫氏(右端)。(資料写真、長沙=新華社配信/張立軍氏提供)

   【新華社アンタナナリボ6月2日】5月のマダガスカルは秋真っ盛り。首都アンタナナリボから35キロ離れたマヒチ(Mahitsy)にある中国国家ハイブリッド稲工程技術研究センターアフリカサブセンターの試験田では、ハイブリッド稲専門家の胡月舫(こ・げつほう)氏(65)が現地の農家らと今シーズン最後の稲の刈り取りを急いでいた。

  マダガスカルでは稲が主要作物で、農産物の作付(栽培)面積の半分以上を占める。だが種子の品質や稲作技術、基盤施設などが弱点となり、その生産量は国民のニーズに追いつかず、輸入に依存せざるを得ない状況が続いている。現地の食糧の自給自足を図るため、マダガスカルと中国は2007年にハイブリッド稲の技術協力を開始した。

  胡氏は08年末に故郷の湖南省益陽市を離れ、ハイブリッド稲の技術専門家という立場でアフリカのこの島国にやって来た。到着してすぐに気付いたのは、この地の自然環境が中国とまったく異なり、中国での研究成果をそのまま取り入れるのは非現実的だということだった。熱帯雨林や熱帯草原、半乾燥などさまざまな気候があるほか、温度や降水量が標高によっても異なり、ハイブリッド稲の適応性にとっての大きな課題となった。最適の品種を見つけるため、胡氏と技術チームは十数年間にわたり、島のほとんどすべての稲栽培エリアに足を運んできた。

  10年には海抜の高い場所、中間の場所、低い場所にそれぞれ合った三つの品種をつくり出し、全国に栽培を広げてきた。「これら3品種の1ヘクタール当たりの収穫量は、マダガスカルで一般的に栽培されている稲の3~4倍に上る」と胡氏は語る。

  中国のハイブリッド稲は、収量が高い、白い、口当たりが良いとマダガスカルの政府関係者や人々の間で高い評判を獲得している。だが育てるには技術が必要だ。「マダガスカルの農家は手の込んだ農業をする習慣がなく、いつ種をまき、いつ収穫するかなど簡単な知識があるだけで、土壌の保水や肥沃度の維持、種子の処理といった考え方はない」

  胡氏はマダガスカルに来てから十数年にわたり、チームを率いて現地の数百人の農業技術者と稲作農家を育ててきた。普段から農地で行っている技術指導は数え切れない。中国人技術専門家らの共同努力の下、ハイブリッド稲の作付面積は5万ヘクタール以上に拡大、1ヘクタール当たりの収量が7・5トン前後に増加し、同国は食糧の自給自足実現に大きく近づいた。

  中国人専門家らは、同国により適した多収量で高品質のハイブリッド稲の品種を見つけるため努力を続けている。研究成果はアフリカ全体に利益をもたらす可能性を秘めている。中国国家ハイブリッド稲工程技術研究センターアフリカサブセンターの張立軍(ちょう・りつぐん)執行主任は、世界をリードする中国のハイブリッド稲技術でアフリカと協力し、飢餓の撲滅や食糧安全という目標をアフリカが早期に実現する一助になりたいと語った。

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