5月30日、記者会見で「夸父1号」について説明するプロジェクトの首席科学者を務める甘為群(かん・いぐん)中国科学院紫金山天文台研究員。(北京=新華社記者/魏夢佳)
【新華社北京6月1日】科学技術関連のハイレベル国際会議「2023中関村フォーラム」の成果に関する記者会見が5月30日に開かれ、中国初の総合太陽探査衛星「夸父1号(Kuafu-1)」に搭載されたペイロード3機の準リアルタイム観測データが世界に試験公開されたことが明らかになった。中でも硬X線撮像装置(HXI)の軌道上のパフォーマンスが最も優れており、これまでに太陽フレアを200回以上観測。中国で初めて太陽の硬X線画像の撮影を実現しただけでなく、画質も世界のトップレベルに達したという。
「夸父1号」プロジェクトの首席科学者を務める甘為群(かん・いぐん)中国科学院紫金山天文台研究員は会見で、HXIは現時点で世界唯一の地球近傍の視野角で撮影した太陽の硬X線画像を提供し、「一つの磁場と二つの嵐」の太陽フレア観測にかけがえのない観測データを提供したと説明。「HXIから提供される太陽フレアの非熱放射分布の詳細は貴重で、予想を上回るものだ」と述べた。
また、衛星のもう一つのペイロードであるフルディスクベクトル磁場測定装置(FMG)により、中国で初めて太陽磁場の宇宙観測が実現。局所的な縦磁場の観測精度が向上し、世界の先進レベルに達した。「一つの磁場と二つの嵐」の磁場観測に有益な資料が得られたという。
このほか、ライマンアルファ線太陽望遠鏡(LST)が衛星プラットフォーム上で初めて完全なライマンアルファ画像観測を実現した。珍しい白色光フレアや、壮観なライマンアルファ太陽のプロミネンス噴火も観測している。(記者/魏夢佳)pagebreak
硬X線撮像装置(HXI)によって観測された太陽フレアの硬X線画像。(資料写真、北京=新華社配信)