訓練中の盲導犬を伴い街を歩く中国盲導犬大連訓練基地の訓練士。(2021年4月22日撮影、大連=新華社記者/潘昱竜)
【新華社瀋陽5月10日】中国遼寧省大連市。絶え間なく車が流れる通りまであと1歩の距離になると、盲導犬の「平安」は素早く体を動かし視覚障害者の歩みを止める。「犬の位置を把握して。平安はもう止まっています」。障害者のイヤホンに注意を促す声が届く。
3メートル離れた場所からトランシーバーを片手に様子を見守るのは中国盲導犬大連訓練基地の訓練士、王鑫(おう・きん)さん。今後1カ月余りにわたり視覚障害者に盲導犬への指示の出し方を教え、双方が互いに親しみを持ち、信頼関係を築くための懸け橋になる。
訓練中の盲導犬を伴い街を歩く中国盲導犬大連訓練基地の訓練士。(2020年1月14日撮影、大連=新華社記者/潘昱竜)
盲導犬訓練士の仕事はあまり知られていない。犬が付き添う障害者は生涯ただ1人であり、期間も最長で8~10年に及ぶことから双方の相性は非常に重要となる。王さんはこうした訓練に従事して13年になり、視覚障害者200人近くが盲導犬に対する理解を深め、上手に使えるようになるよう手助けしてきた。
中国はここ数年、バリアフリー環境建設条例や盲導犬を伴った電車利用に関する規定などを相次ぎ打ち出し、視覚障害者の外出の利便性を高めてきた。空港や鉄道、銀行、地下鉄、ショッピングモール、公園も盲導犬の受け入れを徐々に開始している。
訓練中の盲導犬に装備を装着する中国盲導犬大連訓練基地の訓練士。(2021年4月23日撮影、大連=新華社記者/潘昱竜)
中国盲導犬大連訓練基地の設立は2006年。当初は訓練に合格する盲導犬が年間10頭に満たなかったが、視覚障害者に無償提供した盲導犬は現時点で300頭を超える。
王さんは「中国の盲導犬の数はまだ少なく、申請から引き渡しに約2年かかる」としつつも、将来については「自信をもっている」と語る。基地には毎月、全国からメールが寄せられており、盲導犬事業を知りボランティアに申し込む若者も増えているという。(記者/武江民、張博群)