日本による半導体設備の輸出規制はWTOルール違反

日本による半導体設備の輸出規制はWTOルール違反

新華社 | 2023-04-30 14:33:33

   【新華社北京4月30日】西側メディアは2023年1月27日、米国、オランダ、日本の3カ国の国家安全保障担当者が、中国への一部の先端チップ製造設備の輸出制限について合意したと報じた。この合意は、2022年10月に米国が施行した一部の輸出管理措置を、オランダや日本の関連企業にも拡大するものだ。3カ国の政府はこのニュースの真実性を確認しておらず、合意内容も公開していないが、日本政府は今年3月31日に半導体製造設備の貿易管理規則の意見書案を発表した。この意見書案は、半導体製造工程の6種(23品目)を対象としたもので、メディアの推測を間接的に裏付けた。日本政府は依然としてこれが米国からの指示であることを否定し、この制限が中国だけを対象としていることも明言していないが、明らかに日本は中米間で展開されているチップをめぐる争いで米国側に立つことを選択した。間違いなく誤った選択だと言えるだろう。

   輸出管理は、国家安全保障を守るという名目で実施されることが多いが、それでも貿易措置の一種であり、世界貿易機関(WTO)のルールによって制約される。WTOの基本精神は貿易の自由化を推進することであり、輸入にも輸出にも制限をかけることは奨励しない。ただし通常、各国は輸出を促進することを望んでおり、輸出を制限することはない。貿易制限措置は、国内産業を保護するために輸入を制限することが多い。そのため、ほとんどの国は輸入関税はあっても輸出関税はなく、輸出関税を禁止している国もある。しかし、WTOの最恵国待遇や数量制限の一般的な禁止などの基本原則は、輸入制限措置と輸出管理措置の両方に適用される。つまり、原則として、輸出管理措置、特に数量型の管理措置(輸出割当や輸出禁止令など)は使用しないか、差別的に使用しないようにしなければならない。

   しかし現実には、輸出管理が非常に一般的に実施される分野がある。それは武器や軍用品である。各国は通常、武器の輸出に対して厳しい規制をかけており、友好的な外交や政治関係にある国にしか武器を輸出することが許されない。このような制限は広く理解され受け入れられている。なぜなら、通常、敵対する国から武器を輸入することを望む国はないからである。冷戦時代の米ソ両陣営の対立の中で、米国はパリ統制委員会を主導し、西側諸国の社会主義国への輸出管理政策を調整した。冷戦後の1994年には、同委員会は解散し、関係国は1996年にワッセナー協定を締結した。この協定では、軍用品や軍民両用品について、自発的な上で国家間の輸出管理調整制度を形成した。その目的は、特定の少数の国に対する軍事関連の製品や技術の輸出を制限することだった。しかし、全体として見れば、パリ統制委員会もワッセナー協定も、軍事安全保障や軍事関連貿易に焦点を当てており、産業競争の手段ではなかった。そのため、国際法のレベルやWTOなどの国際機関で異論を唱えられることはなかった。

   しかし近年、米国は覇権の衰退に対する危機感と不安感が急増し、科学技術分野でのリードを維持し強化することが、中国の発展速度を抑制し、米国の覇権を擁護するための優先選択肢となった。そして、中国への高度技術の輸出管理を強化し拡大することが、その最も重要な手段となった。米国は自らの中国に対する技術輸出管理を理不尽なほどに厳格化し、同盟国にも加わるよう要求したり脅したりしている。特に指摘すべきは、現在米国が主導している中国に対する輸出管理は、軍事分野や軍民両用分野をはるかに超えており、ほぼすべての先端技術を輸出管理の対象としていることだ。その目的は、中国の軍事や武器の発展を抑制するより、自らの既存の技術優位を利用して、中国が先端技術を入手するルートを断ち切り、その技術進歩の速度を遅らせ、バリューチェーン(価値連鎖)や産業チェーンの低位に閉じ込めることで、米国の世界覇権を維持することにあるのだ。この目的はワッセナー協定の要求を超えており、冷戦時代のパリ統制委員会よりも厳しいものだ。もしパリ統制委員会やワッセナー協定がまだ軍事分野に焦点を当てているとすれば、それはWTOにおける国家安全保障例外に合致すると言えるだろうが、米国が現在中国に対して行っている極端な輸出管理はWTOが許容する範囲をはるかに超えており、WTOメンバー間で国家安全保障例外を慎重に援用するという暗黙の了解を深刻に破壊しており、多角的貿易体制に対する巨大な打撃である。そのため、2022年12月12日、中国は米国の中国向けチップ輸出管理措置をWTO紛争解決メカニズムに訴えた。

   WTOのルールから見ると、国家安全保障例外の規定は比較的曖昧であり、メンバーにかなりの裁量を与えている。しかし、国家安全保障例外は無制限ではなく、メンバーが自由に解釈できるものではない。WTOがすでに出したパネル報告書では、特に米国の232条に基づく鉄鋼・アルミニウム関税と中国香港地域への商品ラベルに関する2つの争いでは、国家安全保障例外の範囲について明確な定義を行っている。すなわち、メンバーは武器や軍事、核兵器などに関連する物品の貿易や他のメンバーと外交的緊急状態にある場合に限り、国家安全保障例外を援用してWTOの原則やルールから逸脱できる。メンバーは国家安全保障に対する自己解釈をもって自らの貿易保護措置を弁護することは許されず、産業安全保障や経済安全保障、人権保護などの理由は成立しない。

   現在、日本が中国に対して輸出する半導体製造設備は国家安全保障とは関係ない。中国は情報技術製品や自動車の最大生産国であり、川下産業の需要を満たすために大量のチップを生産する必要があり、それによって世界市場から中国の情報技術製品や自動車への輸入需要を満たすことができる。これは純粋な商業行為であり、グローバル化された生産や貿易の一部である。中日両国は非常に緊密で、互恵ウィンウィンの経済貿易関係を有し、それはチップ分野でも同様である。2022年に日本から中国大陸部へ輸出された半導体製造設備は8200億円(約424億2100万元)に達し、中国大陸部は日本企業にとって同分野での最大の輸出先となり、輸出総額の約30%を占めた。このような密接な経済貿易往来は、中日間にいかなる国際関係の緊急状態が存在しないことを示しており、日本は国家安全保障例外を援用して自らの輸出管理措置を弁護する理由はない。

   日本はWTOで良き貢献をしているメンバー国であり、貿易自由化や利便性も高い水準に達しており、紛争解決メカニズムで訴えられることも少ない。日本も最近、中国と欧州連合(EU)が主導する「多数国間暫定上訴仲裁アレンジメント(MPIA)」に加入し、仲裁を通してメンバー間の紛争を解決することを選択した。これは、米国がWTO紛争解決メカニズムを破壊する行為とは対照的である。日本は貿易大国であり、公平で開放的な多角的貿易体制を維持することは、その長期的な利益に合致している。したがって、私たちは日本が自ら提案した半導体設備の輸出管理措置がWTOのルールに反することを認識し、自らが長年にわたって多角的貿易体制を支持してきた伝統にも合致しないことを認識し、関連する制限措置の実施を中止し、中国を始め影響を受けるメンバー国と積極的な対話や協議を展開し、共通の関心事項を適切に解決していくことを期待している。(対外経済貿易大学中国WTO研究員 屠新泉)

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