開放・協力・互恵互利こそが正しい選択

開放・協力・互恵互利こそが正しい選択

新華社 | 2023-04-30 14:33:33

   【新華社北京4月30日】日本の経済産業省は2023年3月31日、「外国為替及び外国貿易法」の関連省令の改正案を発表した。この改正案では、輸出に際して経済産業大臣の事前承認が必要となる半導体製造装置の範囲が拡大されている。輸出管理は世界の平和と安定、安全な発展を守るための手段であり、産業協力や技術交流を妨げるための手段ではない。日本の今回の規則改正は、産業発展の法則や輸出管理制度の本来の目的に反しており、世界の半導体産業チェーン・サプライチェーンの安定的な運営に衝撃を与えることだろう。事実が証明しているように、開放的で協力的な姿勢で互恵ウィンウィンを目指すことこそが、中日両国が世界の産業発展の変化や反グローバル化に挑むための正しい選択なのだ。

   一、中日経済貿易は長期的に互恵互利である

   2023年に、中日関係は新しい50年に入った。過ぎし50年を振り返ると、中日関係は波乱万丈とも言えるものだったが、双方の経済貿易における協力は基本的に健全な発展を続けてきた。中日間の貿易額は300倍以上増加し、日本の対中直接投資額は累計で1200億ドルを超え、中国に進出した日本企業は3万社以上に達している。2007年以降、中国は日本にとって最大の貿易相手国となっている。世界の政治・経済情勢の変化に伴い、中日間の経済貿易協力の分野はますます広がり、多元化、多様化、ルートの増加、質の高い発展などの特徴をあらわしている。歴史の経験は、どんな風雨に見舞われても、経済貿易協力は中日関係の安定要素でバラストであり、推進力であり続けていることを証明している。

   中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、最大の輸出市場でもあり、中日間の貿易は日本の対外貿易全体の1/5以上を占めている。中日間の貿易収支は双方の産業構造の相補性を反映しており、中国は繊維製品や食品などの消費財や家電製品などを日本に輸出して貿易黒字を出しているが、自動車や化学製品、金属原料などでは貿易赤字となっている。中国は日本の対外貿易や経済成長を牽引する重要な力となっている。需要の低迷、継続的なデフレ、高騰する法人税といった日本国内の市場環境と比べると、中国は超大規模な市場優位性や持続的な経済成長、完備した工業体系、深化する開放政策を持ち合わせており、日本企業にとって産業移転や新興産業開発、産業構造の最適化・アップグレードの強力な後支えとなっている。日本貿易振興機構(JETRO)の統計によると、2021年における日本企業の対中投資収益率は15%以上に達し、北米や欧州、東南アジア、その他地域への投資収益率を大きく上回っている。

   半導体分野での協力は中日間の経済貿易の互恵互利の代表例の一つだ。中国大陸部は日本の半導体製造装置企業にとって最大の輸出先となっており、2022年に日本から中国大陸部へ輸出された半導体製造装置の総額は8200億円を超え、日本の同分野の総輸出額の30%を超えている。また、日本から中国への半導体製造装置の輸出額は、米国から中国への輸出額の2倍近くまで達している。日本半導体メーカーが中国大陸部から得た収入は、企業の全体収入の20~30%に達している。例えば、日本最大の半導体製造装置メーカーである東京エレクトロン株式会社は、2022年度において、中国での半導体製造装置に関する純売上高が同社全体の純売上高の25・63%を占め、中国市場は同社にとって最大の収入源となっている。他方で、中日間の半導体産業協力は産業パークやモデル区の建設、プラットフォームの相互連携など、多様なルートや方法で行われており、多数の日本企業が中国に投資して工場を構えている。また、日本の半導体材料関連企業は、中国から大量に重要な原材料を輸入しており、中国で大規模なバイヤー・サプライヤーチェーンシステムを構築している。このように、中日間の半導体産業は協力を継続的に拡大することが両国の利益にかなっており、時代のトレンドにもなっている。

   二、日本の輸出管理強化策は正常な経済貿易秩序に衝撃を与える

   経済産業省が発表した改正案では、半導体製造装置6種類(23品目)について、米国やシンガポールなど42カ国・地域への輸出は一括許可制とし、中国などその他全世界への輸出は個別審査制としている。この新規則は5月に正式発表され、7月から施行される予定。対象となる装置は光学露光装置や化学的気相成長装置、エッチング装置など半導体チップ製造に不可欠なツール。半導体チップは現代産業に広く応用されており、この制限策は中日間の半導体産業発展に深刻な影響を及ぼすことになる。

   新規則は市場のルールに反する。近年、日本は法律の形で自国の経済安全保障を強化し、排他的な経済貿易規則を構築し、投資審査や輸出管理を強化するなど、中日間の半導体産業の深い協力に障害をもたらしている。このような政策は、ある「陣営」に加わるための「入場券」を得ることが真の目的なのだろう。しかし、市場の正常な発展規則を無視した行為は大きな代償を伴う。新規則が施行されれば、中日間の半導体産業の健全な市場競争と深い協力に不確実性をもたらし、日本企業にも巨大な損失を与えることになるだろう。

   新規則は産業発展を妨げる。日本は今回、半導体製造装置への輸出管理の範囲を広めて、多くの民生用装置を中国に対して制限することで、米国の中国技術への打撃に呼応する狙いだ。半導体は高度にグローバル化された産業であり、その産業チェーン・サプライチェーンの形成と発展は市場規則と企業選択の共同作用の結果だ。世界には先端チップの全ての工程を把握している国はない。半導体産業の発展を支えるのは巨大なグローバル化した産業ネットワークであり、このネットワークは日本や米国、韓国、欧州などの国・地域だけでなく、中国との緊密な協力が不可欠である。現在は世界の半導体市場の需要が大幅に減少し、部品や設備への需要も低迷しており、日本の新規則は短期的には間違いなく世界の半導体サプライチェーンシステムを混乱させる。また、長期的に見れば、日本の半導体産業の総合的な競争力を低下させ、世界の半導体産業のバランスを崩すことになるだろう。

   新規則は輸出管理の目的に反する。日本は今回、規制対象品目の範囲を大幅に拡大した。その多くは最終的用途が消費用電子製品の製造で、軍事とは無関係だ。このような範囲拡大は輸出管理の「拡散防止」の趣旨から大きく外れており、正常な国際経済貿易協力の直接的な妨げとなりかねない。日本が今回制限する品目は、ワッセナール・アレンジメントなどの国際的なルールで制限されている品目を超えており、光学露光装置やエッチング装置、熱処理装置、洗浄装置、検査装置などの多くの装置を含んでいる。今回の改正は他の国よりも広範囲に及んでおり、半導体企業の正常な経済活動に悪影響を及ぼすことになる。これはグローバル化と自由貿易に対する妨害であり、大国としての拡散防止の義務を果たすことや国際平和と安全を守ることにおいては何の意味ももたない。

   三、開放的で協力的な姿勢こそが正しい道である

   大国間の技術競争は長期的に存在しているが、産業分業のグローバル化は世界的な趨勢となっており、どの国も一方的な行動で、各国間にある相互依存関係を変えることはできない。強引に分断やデカップリングに踏み切れば、その結果は深刻であり、決して望ましいものではない。各国は対話や協議、危機管理を通じて、互恵ウィンウィンの規範やルールを確立する必要がある。そうすれば、「争えば共倒れ」の結果を避けることができ、国家安全と経済利益を両立させる共存の道を徐々に見つけることができるだろう。日本政府は冷静かつ慎重な姿勢で、国内外のさまざまな関係者の発展利益を十分に考慮し、世界のサプライチェーン・産業チェーンの安定を守るために正しい決断を下すべきだ。

   中国は世界最大の消費市場であり、技術市場でもある。市場は技術成果の行き着くところであり、技術移転を誘導し調整するレバレッジでもある。そして成熟した実用的な技術や新技術、新しい手段、新しい工程の国内外への流動を主導し支配している。中日は産業構造が高度に相補的であり、生産体系や供給体系が高度に統合されている。中国の市場の優位性と日本の技術の優位性がうまく結合すれば、中日間の経済や技術協力の新たな空間が生まれるに違いない。さらに、中日両国は地域的な包括的経済連携(RCEP)協定のメンバー国として、相手国へ輸出する関税ゼロ商品の割合が8%から86%に拡大することになる。関税の軽減効果の下で、半導体産業の協力は深化し、川上・川下関連産業にもその影響は波及するだろう。中日両国はRCEPの自由貿易協定の実施を促進することで、両国間の半導体産業チェーンの国際分業を強化すべきだ。また、市場規則を尊重し、交流のルートを拡大させ、政治的な相互信頼を増進することで、経済問題と安全の過度な関わりのトラップを打破していくべきだ。そして、世界のグローバル化の大きな流れに沿って、中日間の半導体産業における共同利益を見出して行くべきだ。さらに両国は経済政策の調整と協力を強化し、多様な互恵ウィンウィンの協力機会を模索し、継続的に双方向の経済貿易の往来を強め、貿易や投資などの分野で双方向の協力を深化させ、積極的に二国間ないし多国間の貿易関係を維持・拡大し、共に世界の産業発展の変化や反グローバル化の問題に立ち向かっていくべきだ。(中国商務部国際貿易経済協力研究院 研究員・副院長 張威)

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