10日、日本の読者が翻訳した日本語版「天啓予報」。(上海=新華社配信/叮咚)
【新華社北京4月24日】中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」のトレンド検索ランキングに、「日本読者からの手紙」というキーワードが登場した。中国のネット小説家、風月(ふうげつ、ペンネーム)さんの小説「天啓予報」を読んだ日本の女性読者が中国語で著者に送った手紙に関する投稿だという。
読者は手紙で「こんなにすばらしい小説があったとは」と作品への愛情をつづり、個人的に一章ずつ翻訳し、同人誌を制作したことも伝えていた。ウェイボの同投稿は21日時点で731万回以上閲覧されており、ネット上には「感動した。自分の作品をここまで肯定してくれるファンがいることは人生でとても幸せなこと」「これこそ文章が持つ不思議な力」「山川異域、風月同天(山河は異なれど、風月は同じ天に通ず)」などのコメントがあふれた。
日本の読者からの手紙は、風月さんと多くの中国ネットユーザーの心を温めただけでなく、成長目覚ましい中国ネット文学の現状を反映している。中国作家協会ネット文学センターが4月初めに発表した「2022中国ネット文学青書」によると、2022年に新たに発表されたネット文学は300万作品余りに上り、主要プラットフォームの収益は230億元(1元=約19円)を超えた。
ネット文学は中国文化を世界に紹介する優れた媒体にもなっている。海外で発表された中国のネット文学作品は22年末時点で1万6千作品余り。うち、書籍化された作品は5千作品を超え、9千作品余りが翻訳されてオンライン配信された。読者は世界200カ国・地域余りに広がり、1億5千万人を超える。
電子書籍大手の閲文集団(チャイナ・リテラチャー)傘下の海外版ポータルサイト「起点国際」がまとめた「2022中国ネット文学海外進出興味リポート」によると、同サイトで発表された中国ネット文学の翻訳版は22年末時点で約2900作品。ユーザーは世界200カ国・地域余りに分布している。読者層は1990年代後半~2000年代前半生まれのZ世代が75%以上を占めており、中国ネット文学が外国の若者を引きつける高い魅力を備えていることを示している。
中国作家協会ネット文学センター伝播処の責任者、張富麗(ちょう・ふれい)氏は、ネット文学の持つ叙事性の強さと消費ハードルの低さが国際的な伝播に適していると指摘。ネット文学は誕生から20年余りで強い波及力を備えるようになり、インターネット技術を用いたコンテンツ製作、配信のビジネスモデルも日増しに成熟していると語った。(記者/彭純、許芸潁)