日本に海洋放出以外の汚染水処理の研究を促す 中国外交部

日本に海洋放出以外の汚染水処理の研究を促す 中国外交部

新華社 | 2023-03-22 14:12:44

   【新華社北京3月22日】中国外交部の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は21日の定例記者会見で、日本の原発放射能汚染水放出計画について、客観的かつ科学的な観点に基づき、安全かつ国際的な義務と安全基準、優れた取り組みにかなった方法で処理することを日本に促すと表明、海洋放出以外の選択肢の十分な研究と実証も含まれるとした。

   汪氏は記者から「福島第1原発の放射能汚染水の海洋放出に関連する設備の一部が17日に稼働した。汚染水を攪拌(かくはん)してトリチウム以外の放射性物質の濃度を測定する設備で、福島の地元報道によると、攪拌作業に6日間、濃度測定に約2カ月かかるという。中国はこれにコメントするか」と聞かれ、次のように述べた。

   福島の放射能汚染水海洋放出問題については、中国外交部の関係部門責任者が最近、中国の立場を包括的に説明している。日本政府は国際社会の正当な懸念を無視し、国際的義務に違反している。海洋放出を強引に進め、海洋環境と人々の健康を損ない、近隣諸国の合法的権益を侵害しようとしている。決して責任ある国家の行動ではない。

   日本は多核種除去設備(ALPS)で浄化すれば安全で無害だと主張するが、実際には60種類以上の放射性核種が含まれており、多くの核種には現時点で有効な浄化処理技術がない。一部の半減期の長い核種は海流に乗って拡散し、生物への蓄積効果が生じる。環境中の放射性核種の総量を余分に増加させる可能性があり、海洋環境と人体に予測不可能な危害をもたらす。

   ALPS技術の成熟度や有効性は第三者による評価や認定を受けていない。これほど膨大かつ複雑な成分を含む放射能汚染水を処理した前例もなく、長期的な有効性は疑問視されている。日本が今月発表したデータでは、ALPSで処理した放射能汚染水の70%近くがまだ基準を満たしていない。しかも、それらのデータは、データの改ざんと隠蔽(いんぺい)に手慣れた東京電力が提供している。日本が「処理水」と呼ぶ放射能汚染水の「安全説」に国際社会は果たして納得するだろうか。太平洋諸島フォーラム(PIF)の専門家も、これまでのデータ検証の独立性と検証可能性は満足のいくものではないと指摘している。

   日本の世論調査では43%が海洋放出に反対しており、90%以上が海洋放出によって悪影響が出ると回答している。中国と韓国、ロシア、朝鮮、太平洋島しょ国のほかにも、日本の海洋放出に懸念を表明する国や国際機関は増えている。国際原子力機関(IAEA)の技術作業チームは日本の海洋放出計画の評価を終えておらず、最終的な結論も出していない。逆に海洋放出案にはIAEAの安全基準に合致しない部分が多くあると指摘している。

   それにもかかわらず、日本は独断専行して放出推進を加速させ、放出は春から夏に実施し、延期はできないと公言している。日本のこのような行為には、各方面の懸念に対する誠意も、関係国際機関の権威を尊重する姿勢も感じられない。日本の指導者は昨日、インドでいわゆる「海の法治」について大いに語ったが、日本が海洋放出を強引に進めるなら、「他人を治めようとするばかりで、自分を管理しようとしない」と言わざるを得ない。

   中国は日本に対し、客観的かつ科学的な観点に基づき、海洋放出以外の選択肢の十分な研究と実証も含め、安全かつ国際的な義務と安全基準、優れた取り組みにかなった方法で処理するよう促す。すべての利害関係国と関連国際機関が放出計画の安全性を確認するまで、日本は放出を開始してはならない。もし日本が独断専行するなら、国際社会は放射能汚染のリスクを全人類に転嫁する行為の責任を問う権利がある。
 

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