宇宙ステーションの燃焼科学実験キャビネットでのメタン燃焼の画像(左)と、地上でのメタン燃焼の画像(右)。(資料写真、北京=新華社配信)
【新華社北京3月4日】中国科学院宇宙応用工程・技術センターは2日、宇宙ステーションの実験モジュール「夢天」の燃焼科学実験キャビネットがこのほど、初の軌道上点火実験に成功したと発表した。燃焼科学実験システムの機能の完全性や、実験プロセス全体の正確性と科学性が検証され、今後の宇宙科学燃焼実験プロジェクトのために良好な基盤を築いた。
燃焼キャビネットの科学実験システム主任デザイナーを務める中国科学院工程熱物理研究所の鄭会竜(てい・かいりゅう)研究員によると、今回の実験ではメタンを燃料とし、2回の点火は計約30秒間持続した。
ハイスピードカメラによって転送された実験映像からは、拡散火炎に囲まれたメタン予混合火炎(内側の円錐型火炎)の形状を明確に確認できる。燃焼科学実験を担当した清華大学の劉有晟(りゅう・ゆうせい)副教授は「浮力の影響を受けないため、外側の拡散火炎は地上での同様の実験結果と比べて、より短く、丸みを帯びている」と述べた。
劉氏は、微小重力環境が浮力の対流を排除し、粒子や液滴の沈降を抑制できるため、微小重力燃焼実験は、燃焼理論とモデルの発展にとって重要な支えを提供できると説明した。
中国は、微小重力燃焼科学分野で79項目の実験目標を含む10件の研究計画を策定しており、年内に40回以上の軌道上燃焼実験を完了する予定となっている。これらの実験から得られる中国の微小重力燃焼分野における宇宙ステーション実験データの第1陣は、地上と宇宙での燃焼応用装置や材料合成に関する理論の発展に役立つ。(記者/張泉)