中米独などの研究者、農業のカーボンニュートラルに新提案

中米独などの研究者、農業のカーボンニュートラルに新提案

新華社 | 2023-03-01 16:45:34

研究チームがバイオ炭を施用した試験農地。(資料写真、南京=新華社配信/趙旭)

 【新華社南京3月1日】中国や米国、ドイツなどの研究者が行った農業環境に関する共同研究で、二酸化炭素(CO2)を削減する新たな技術ロードマップが示された。現在のCO2削減方法を改善することで、中国の食糧生産のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出の実質ゼロ)を実現できる可能性があるという。中国科学院南京土壌研究所が明らかにした。

 研究は同研究所や中国農業大学、清華大学、米コーネル大学などが共同で完成させ、英科学誌ネイチャーフードに発表した。研究を主導した南京土壌研究所の顔暁元(がん・ぎょうげん)研究員によると、研究はビッグデータ分析などを通じて中国の三大食糧作物である水稲と小麦、トウモロコシの生産過程におけるCO2排出状況を詳細に評価し、三大食糧作物の生産による2018年のCO2排出量を6億7千万トンと推計。一連の炭素削減対策を総合的に実施すれば、農業を炭素排出源から炭素吸収源に変え、カーボンニュートラルを実現できる可能性があるとの結果を導き出した。

研究チームがバイオ炭を施用した試験田。(資料写真、南京=新華社配信/趙旭)

 研究チームは、作物残さの農地への還元率の向上、窒素肥料の最適化管理、水田の間断かんがいなど従来から炭素固定・排出削減措置を進めれば、3作物の炭素排出量を現在の6億7千万トンから5億6千万トンに削減できると試算。作物残さを炭化させてバイオ炭として農地に施用するなどの措置を取ることで炭素総排出量をさらに2億3千万トン削減することも可能とし、削減幅は合わせて66%になるとした。

 研究チームはこれらの試算を基に革新的なエネルギー捕捉システムを設計し、バイオ炭の生産過程で生じるバイオオイルとバイオガスを精製して発電し、エネルギー代替による排出削減を実現。一連の取り組みにより、中国の主要食糧作物の生産は2億3千万トンの炭素源から4千万トンの炭素吸収源に変わり、カーボンニュートラルを実現できるとの道筋を示した。

 顔氏は「新たな技術ロードマップは生産量を減らさずに食糧生産のカーボンニュートラル実現を後押しする。大気汚染物質の排出量を減らし、化学肥料資源の利用率を高めることもでき、環境・経済効果を3割以上向上させる」と語った。

 ネイチャーフードの査読者は同研究について、農業国が食糧生産のカーボンニュートラルを実現し、農業の持続可能な発展を進める上で重要な意義を持つと評価した。

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