「中国天眼」が示した銀河系の星間水素原子ガス分布図(マイナス150キロ/秒~150キロ/秒の累積)。(資料写真、貴陽=新華社配信)
【新華社北京12月13日】銀河系の幾億もの恒星の間に広がる星間空間は虚無ではなく、希薄な星間物質で満たされている。中国の科学者はこのほど、貴州省にある500メートル球面電波望遠鏡(FAST)、通称「中国天眼」を使い、銀河系星間物質のこれまでにない高精細な細部を明らかにした。銀河系内の星間生態サイクルを研究する上で重要な意義を持つ。
今回の研究は、中国科学院国家天文台の韓金林(かん・きんりん)研究員率いる研究チームが完成させ、一連の論文が10日、学術誌「中国科学:物理学 力学 天文学(SCIENCE CHINA Physics Mechanics & Astronomy)」に特集記事として掲載された。
韓氏は「銀河系の星間物質には、恒星の誕生と消滅に関わる秘密が隠されており、以前から天文学者の探求の対象となっていた」と説明した。
韓氏によると、銀河系には水素原子の気体が広がっており、密集した水素原子が冷却されると水素の分子雲が形成され、高密度な分子雲の中心で新たな恒星が生まれる。恒星の幾つかは最終的に爆発して超新星となり、超新星残骸とパルサーを生み出す。爆発の衝撃波は星間空間のガスを圧縮するが、光速近くまで加速された電子は星間磁場で運動して微弱な電波を放射する。
韓氏のチームは、銀河系内でパルサーを探す過程で、星間物質のスペクトル線データを記録し、中性水素ガスの細かな構造と電離ガスの拡散特性を明らかにした。銀河系の中心から6万光年離れ、他の望遠鏡で観測できない小さな雲塊も観測し、銀河系の気体力学研究と渦状腕構造など最先端課題に高品質な観測データセットを提供した。
同チームはほかにも、暗いパルサーのファラデー効果を大量に測定し、銀河系深遠部の広範囲における磁場の特徴を明らかにし、超新星爆発の痕跡も新たに2例確認した。pagebreak
「中国天眼」が示した銀河系の星間電離ガス分布図(マイナス40キロ/秒~120キロ/秒の累積)。(資料写真、貴陽=新華社配信)pagebreak
8月24日、貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州平塘県にある「中国天眼」。(小型無人機から、貴陽=新華社記者/欧東衢)