【新華社上海10月31日】10月29日は世界脳卒中機構が定める「世界脳卒中デー」。この日を前に、中国人民解放軍海軍軍医大学第一附属医院(上海長海医院)脳血管疾病センターの劉建民(りゅう・けんみん)教授チームによる最新の臨床研究成果「急性虚血性脳卒中の機械的血栓除去術における血流再開後の降圧治療強化についての研究」が28日、英医学誌「ランセット」の電子版に掲載された。
4年間にわたって行われた研究では、患者1828人に対するスクリーニング検査から最終的に研究対象821人を選別。急性大動脈閉鎖型の虚血性脳卒中の患者について、血管内治療で血流再開後、血圧管理を強化した患者(血圧値120mmHg以下)のグループが、標準的な血圧管理をした患者グループ(血圧値140~180mmHg)と比べ予後が悪いことを確認した。同研究により、臨床実践の指針となるガイドラインが書き直されることが期待されている。
脳卒中は世界中の人々の健康を脅かす重大な非感染性慢性疾患の一つであり、90%以上の患者が機械的血栓除去術で血流を再開できるが、半数以上に障害が残り、死に至るケースもある。標準化された周術期管理による患者の予後の改善は、常に世界の脳卒中治療分野における重大な科学的課題とされてきた。
研究の結果、術後90日間で予後が良好だった患者は、血圧管理(降圧治療)を強化したグループで47・5%、標準的な血圧管理をしたグループで60・8%となり、後者の方法が患者の回復に有効であることが証明され、脳卒中患者の血流再開後の血圧管理に安全下限値が示された。
現在、研究チームは第2段階となる、血栓除去術後の最適な血圧管理の方法を探る研究を、多くの国の医療機関と協力する多施設共同研究の形で進めるべく準備に入っている。