中国などの研究者、衛星による都市CO2排出量の定量観測を実現

中国などの研究者、衛星による都市CO2排出量の定量観測を実現

新華社 | 2022-10-29 13:32:41

 二酸化炭素観測衛星「TanSat」のイメージ図。(北京=新華社配信)

 【新華社北京10月29日】中国科学院大気物理研究所はこのほど、海外協力者との合同研究チームが中国の二酸化炭素(CO2)観測衛星「TanSat」を利用し、都市部のCO2排出の定量識別と計算に成功したと明らかにした。人為起源の炭素排出を正確にモニタリングする上で重要な意義を持つ。研究成果は25日、中国の学術誌「大気科学進展」に掲載された。

 地球温暖化対策は人類が直面する共通の課題といえる。温室効果ガス排出削減の算定は現在、ほとんどが排出リストに依存しており、国別リストは地域ごとの誤差が生じている。衛星を利用した地球規模の人為起源CO2排出観測は、この問題を効果的に解決できる。

 同研究所副研究員で論文筆頭著者の楊東旭(よう・とうきょく)氏は、CO2の要素を観測するだけでは、CO2濃度の変化が人為起源か自然起源かは判断できないと指摘。人為起源のCO2は主に化石燃料の燃焼によるもので、この過程で二酸化窒素(NO2)が同時に発生するため、CO2とNO2を同時に観測すれば、人為起源のCO2排出量を算定できると述べた。

 研究チームは、TanSatの観測データと欧州の地球観測衛星「センチネル」のNO2観測データを利用し、2都市の観測データをサンプルとして、人為起源CO2とNO2排出の関連性を確認。これを踏まえ、2都市のCO2排出量を算出した結果、排出リストと一致した。

 楊氏は「この成果は中国のCO2観測衛星が都市レベルの観測能力を備えたことを示している。人為起源CO2排出のさらに正確なモニタリングにとってプラスとなり、将来の地球温暖化対策に技術面のサポートを提供できる」と述べた。

 2016年12月に打ち上げられたTanSatは、地球大気中のCO2含量の観測に特化した中国初、世界で3番目の衛星となっている。

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