人類運命共同体の理念は「時代にふさわしく必要な考え方」 鳩山由紀夫元首相

人類運命共同体の理念は「時代にふさわしく必要な考え方」 鳩山由紀夫元首相

新華社 | 2022-10-08 10:02:24

 新華社の単独インタビューに応じる鳩山由紀夫元首相。(7月20日撮影、東京=新華社記者/鈔文)

 【新華社東京10月8日】日本の鳩山由紀夫元首相はこのほど、新華社の単独インタビューに応じ、中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が提唱する人類運命共同体構築の理念について「時代にふさわしく必要な考え方だ」と指摘した。さらに、運命共同体意識を確立することは、世界が分断を回避して課題に対応し、アジアが平和を守り共に発展するために非常に重要であると述べた。

 東京にある鳩山氏の事務所には、中国を訪問した際の写真が数多く見られ、壁の最も目立つ位置には、2012年に習近平氏と一緒に写った写真が飾られていた。同年は中日国交正常化40周年に当たり、国家副主席だった習近平氏は3月、中日民間交流活動に参加するため訪中した鳩山氏と人民大会堂で会見した。鳩山氏は中国の指導者との数々の会見を振り返りながら「習近平主席は長期的な展望と優れた見識、広い視野を持っている」と感慨を込めて語った。

 鳩山氏は、人類運命共同体構築の理念について「地球は一つであり、人類は運命を共にしている」と高く評価。分裂・割拠し、互いに敵味方となることは人類の未来を失わせるとの見方を示し、世界が直面している環境問題などの課題に対応する上で「人々が連帯し、つながっているとの意識を持つことが必要だ」と指摘した。

 鳩山氏はさまざまな場で人類運命共同体構築の理念への賛同を何度も示しており、今回も「できる限りの支援を行う」と表明した。

 「一帯一路」の共同建設について鳩山氏は、人類運命共同体を構築する重要な道だと指摘。地域経済や貿易の発展により国家間の交流を増進し、紛争を未然に防ぎ、発展により平和を促進することが大切だと述べた。さらに、アジア太平洋運命共同体は人類運命共同体構築という理念の重要な要素を成していると指摘した。

 13年、習近平主席は、アジア太平洋運命共同体意識を強固に打ち立てるよう提案し、19年には、開放・包摂、革新・成長、相互接続、協力・ウィンウィンのアジア太平洋運命共同体構築を提唱した。21年には、開放的かつダイナミックで、力強く平和なアジア太平洋共同体を40年までに建設するという目標をめぐり、感染対策協力と経済回復の促進、開かれたアジア太平洋経済の構築、革新的成長とデジタル経済発展の促進、包摂的で持続可能な発展の実現という、アジア太平洋運命共同体構築に向けた重点項目を提起した。

 鳩山氏は壁に飾られた「友愛」と書かれた漢字の書を指し、「私も『友愛』を大切にし、東アジア共同体構築を提唱してきた。アジア太平洋運命共同体の理念は、東アジア共同体構想と一致していると思う」と強調。共同体の理念がアジアの平和と発展にとって非常に大切だと考えており、「アジアは一つであり、アジア諸国が運命を共有しているという考え方は非常に重要だ」と語った。

 アジア近現代史について鳩山氏は、日本が朝鮮半島に進出し、中国を侵略したと指摘。アジアを二度と戦場にしてはならず、「不戦共同体」にしなければならないと訴えた。さらに、意見の相違を乗り越え、隣国の不信感を克服し、人々の親近感を高めることが必要との認識を示し、日本と周辺諸国の間の感情的な対立の大きな理由の一つは、歴史問題であり、日本が歴史的事実を直視しなければならないと強調した。

 鳩山氏は、経済・貿易や教育、医療、スポーツ、環境保護などの分野で、アジア諸国には共通のテーマがあり、これらについて議論し、協力、融合した共同体を築く努力をすることが、アジアにとって非常に重要だとの見方を示した。

 今年初め、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効した。鳩山氏はこれについて、関係国にとって貿易交流の共通基盤ができ、アジア太平洋地域全体の経済発展に大きな利益をもたらすと指摘。今後さらに多くの分野で関係国・地域の全面的な融合を促し、共同体の構築につながるとの考えを示した。

 現在75歳の鳩山氏は、09年9月から10年6月まで首相を務め、現在は東アジア共同体研究所の理事長となっている。首相在任中は対中関係の発展を重視し、退任後も両国の友好と交流・協力の促進に尽力してきた。鳩山氏は国家間の関係が人々の親しみの上に成り立つとの考えに大いに賛同しており、両国の民間交流のために働きたいと願っている。このため、中国を何度も訪れており、その回数は19年だけで25回に上った。

 今年は中日国交正常化50周年に当たる。鳩山氏は両国関係について、歴史問題に対する認識が日中関係の発展に影響していると指摘。歴史問題を解決することでのみ、政治的な課題を根本的に解決することができると訴えた。

 13年1月、鳩山氏は訪中した際に南京の侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館を訪問し、日本兵の犯罪行為を謝罪するとともに、歴史の悲劇が二度と繰り返されないことを心から願うと表明した。当時の様子について鳩山氏は、白いハトを掲げた平和の母の像や、植樹したイチョウの木を覚えていると回顧。「鳩という字は平和の象徴であり、『平和』の意味を持つこの名字を大切にしてきた。日本が歴史を直視し、平和の大切さを守っていかなければならない」と語った。(記者/郭丹、鈔文)

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