
麻辣燙チェーン「楊国福」の福岡店で列をつくる人々。若い女性客の姿が目立つ。(福岡=新華社配信)
【新華社瀋陽5月20日】日本の交流サイト(SNS)で、中国発の「麻辣燙(マーラータン)」がたびたび話題になっている。東京や大阪では、中国東北部で広く親しまれているタイプの麻辣燙店が相次いでオープン。黄色い看板を掲げたチェーン店には若い女性客が集まり、スマートフォンを手に料理を撮影する姿が目立つ。
遼寧省出身で現在は東京で働く田原(でん・げん)さんは「子どもの頃から慣れ親しんできた麻辣燙が、まさか日本でも人気料理になるとは」と驚く。今では故郷の味を楽しむにも長い列に並ぶ必要があるという。

麻辣燙チェーン「楊国福」の東京・赤坂店。(東京=新華社配信)
2025年1~9月に日本全国で新規開業した麻辣燙専門店は93店舗に上り、22年の11店舗から大幅に増加した。「麻辣燙」は25年の流行語候補にも挙がり、SNS上では関連ハッシュタグの投稿も増え続けている。
麻辣燙はもともと四川省発祥の料理だが、中国東北部に伝わる過程で独自の変化を遂げた。辛味の強いスープは当初、塩味やうまみを好む東北の人々には受け入れられなかったが、辛さを抑え、ゴマだれや粉ミルクを加えた白濁スープへと改良されたことで広く定着した。遼寧省瀋陽市で10年以上にわたって麻辣燙店を営む郭秀芬(かく・しゅうふん)さんは「東北では、コクのあるまろやかな味わいのスープが好まれる」と話す。

麻辣燙チェーン「楊国福」の海外店舗。(東京=新華社配信)
日本では現在、この東北式の麻辣燙がさらに独自の進化を見せている。中国の飲食チェーン大手「楊国福」は、日本市場向けに辛さを抑えた白湯スープを開発。さらに、サラダバーのように具材を自分で選ぶ方式を導入し、日本の消費者にも親しみやすいスタイルへと改めた。同チェーンのブランディングと海外展開を担う朱泓臻(しゅ・おうしん)氏は「中華料理の海外進出では、現地の文化に合わせたビジネスモデルの再構築が必要になる」と説明する。世界で約7千店舗を展開し、うち海外店舗は200店近くに上る。
遼寧省大連市の大連外国語大学で十数年にわたり日本語教育に携わる川内浩一さんによると、中国留学中の日本人女性の間では「中国では人気の麻辣燙を行列なしで食べられる」とSNSで投稿することが、一種のステータスになっているという。「麻辣燙の流行は、知らず知らずのうちに日中両国の文化を結びつけている。味覚の共感は国境を超える」と指摘した。(記者/崔師豪)