3月27日、深圳市南山区の自変量機器人科技(深圳)で、ロボットが柔らかい物をつかむタスクを実行する様子について説明する楊倩(よう・せん)最高執行責任者(COO)。(深圳=新華社記者/劉夢琪)
【新華社深圳5月9日】海外の交流サイト(SNS)で、中国深圳市の新たな家事代行サービスが注目を集めている。清掃スタッフと人工知能(AI)ロボットが協力して家事を行うもので、ロボットがゴミ捨てや猫用トイレの清掃などを担う。
きっかけとなったのは、インド人AIエンジニアのロハン・ポール氏がSNSに投稿した動画だ。「中国では、清掃スタッフとAIロボットが一緒に家事をする新しい家事サービスが始まっている」と紹介し、話題を呼んだ。
このサービスは、深圳市のエンボディドAI(身体性を持つ人工知能)企業、自変量機器人科技が家事代行プラットフォームと連携し、試験導入している。ロボットは清掃スタッフとともに利用者宅を訪れ、机上の整理整頓やゴミ捨て、猫用トイレの清掃を自律的に行うほか、布団を畳む作業も補助する。
関連動画は海外SNSで拡散され、ロボット研究者のクリス・パクストン氏は、人とロボットの分業・協業モデルに期待感を示した。「このモデルにより、ロボットの自律性は70%から90%、さらに99%へと高められる」と予測している。
自変量機器人の楊倩(よう・せん)最高執行責任者(COO)は取材に対し、サービス業は複雑で標準化が難しく、家庭環境は汎用ロボットにとって「究極の試験場だ」と説明。同社の研究開発チームはアルゴリズム改良を進め、ロボットを「より賢く」しているという。
3月28日、深圳市前海の深港青年夢工場で、高精度3Dスキャナー「留形機Q9000」を紹介する深圳留形科技の創業者、徐威(じょ・い)氏。(深圳=新華社記者/劉夢琪)
同社が拠点を置く深圳市の「ロボットバレー」には、ロボット関連企業が集積し、多くの企業の製品が海外でも販売されている。ドイツのレッドドット・デザイン賞など複数の国際的デザイン賞を受賞しているロボット企業、深圳市普渡科技は現在、80以上の国・地域で事業を展開。海外市場が売上高の8割超を占める。創業者の張濤(ちょう・とう)最高経営責任者(CEO)は、清掃ロボットが欧米やアジア太平洋市場の法人ユーザーから好評を得ていると説明した。
深圳市では、「ロボットバレー」以外でもロボット産業を育む環境整備が進んでいる。前海では「エンボディドAIベイ」の建設が進められ、「大脳計画」と「小脳精密組み立て」の二つの基礎実験室が完成。業界トップクラスのエンボディドAI企業と連携し、共同研究開発も進めている。
空間認識・再構築技術を手掛ける深圳留形科技も前海で成長した企業の一つだ。製品は欧州や日本、米国などに輸出され、科学研究や技術革新で活用されている。
3月27日、深圳市南山区にある深圳市普渡科技で、ロボットを撮影する来場者。(深圳=新華社記者/劉夢琪)
深圳市の関連部門や業界団体によると、市内にはAI企業2600社以上、ロボット関連企業7万社以上が集積している。2025年にはAIやロボットなどの産業クラスターの付加価値額が2桁の伸びを実現した。
福田区では人型ロボットの地下鉄保安検査への導入が進められ、南山区ではロボットによるコーヒー提供が始まっている。宝安区ではロボットが24時間対応の夜間行政サービスを担い、前海ではテニスの相手やポップコーン作りをこなすロボットも登場した。ロボットは深圳市民の日常生活に溶け込みつつある。
ロボット産業の技術発展や応用分野の拡大は、広東省が同産業を重点的に育成していることを示す象徴的な事例となっている。25年には、広東省の産業用ロボットの生産量が全国の4割、サービスロボットの生産量は全国の8割を占めた。(記者/杜鵑、孫飛)