東京の首相官邸。(2020年8月28日撮影、東京=新華社記者/杜瀟逸)
【新華社東京4月25日】高市政権が進める情報体制の強化を巡り、日本の衆議院は23日、「国家情報会議」と「国家情報局」の設置に関する法案を可決した。
日本政府は情報分野で体制強化を進め、複数の機能を統合して情報能力の高度化を図るとともに、首相への権限集中を強めている。専門家の間では、こうした動きについて、国内では思想や世論への統制を強め、「外部の脅威」をあおることで軍備増強への支持を誘導する狙いがあるとの見方が出ている。対外的にも、情報収集能力を強化し、「専守防衛」原則の見直しや軍事行動の拡大に向けた基盤整備が進められているとの指摘がある。
こうした一連の動きは、第2次世界大戦前に日本の軍国主義が情報機関を強化していった過程と重なる。一部の日本メディアは、高市首相が「新しい戦前」の情報体制を構築し、戦争国家への危険な道を突き進みつつあると指摘。かつて思想統制を担った特別高等警察(特高)の再来になりかねないとの見方を示している。
読売新聞社や朝日新聞社が戦時中に出版した書籍。日本軍による中国侵略を美化するタイトルがあふれている。(資料写真、東京=新華社記者/陳天湖)
今回可決された法案では、「国家情報会議」を中核に「国家情報局」を実務機関とする体制を構築し、安全保障やテロ対策に関わる「重要情報活動」や、外国のスパイに関わる「外国情報活動」を一元的に統括するとしている。制度の要点は、情報活動の強化と管理の一元化、そして首相官邸主導の強化にある。
さらに、日本政府や右翼勢力が民間の情報能力の活用を強めているとの指摘もある。与党・自民党と資金関係を持つIT企業が、交流サイト(SNS)を通じてリベラル派の政党や個人の情報や発言を収集し、攻撃を仕掛けるとともに、改憲などの主張をあおっているとされる。
こうした動きに対し、日本国内では懸念が広がっている。ある日本メディアは、再編後の情報体制は首相直属に近いものとなり、政治的に利用されたり、国民のプライバシーや言論の自由を侵害するリスクがあると指摘する。高市政権が国内世論を操作し、反対意見を抑圧するための道具と化す恐れがあると警鐘を鳴らしている。
一部の日本メディアやネット上では、特高の歴史が再び繰り返されるのではないかとの懸念の声も上がっている。特高は戦前から戦中期にかけて国内の社会運動を弾圧し、思想統制を担った機関である。

1941年12月7日の真珠湾攻撃で爆撃された米軍艦艇。(資料写真、東京=新華社配信)
当時、日本では「国体護持」を口実に情報機関の権限が強化され、憲兵や特高が民衆を厳しく監視し、反戦の声を抑圧した。特高は残酷かつ強圧的な手段によって、社会に軍国主義政策への支持を強いたのである。こうした歴史を踏まえ、京都新聞や琉球新報などのメディアは、権力の暴走を許した教訓を忘れてはならないと警告している。
歴史学者の前坂俊之氏らは、日本では1930年代以降、軍国主義勢力がメディアへの圧力を強め、40年代には世論をほぼ掌握していたと指摘する。現在の日本の言論状況は30年代初頭と類似点があるとされる。右傾化が進む政治・社会環境の中で、日本政府が各方面の力を動員して国民感情をあおり、「かつての道」をたどろうとしているとの見方を示した。
中国国際問題研究院アジア太平洋研究所の項昊宇(こう・こうう)特任研究員は、日本の政権は世論の風向きを掌握し、「外部の脅威」をあおることで、平和憲法の改正や軍備拡張に向けた思想的・政治的動員を進めていると指摘する。
高市政権による情報機関強化の狙いは、国内世論の統制にとどまらない。対外情報収集を強化し、日本の軍事活動に活用することも重要な目的となっている。
東京の衆議院第二議員会館前で抗議する人。(東京=新華社記者/賈浩成)
専門家は、国家情報局の設置が戦後の「専守防衛」原則の制約からの転換につながる重要な一歩だとみている。統合された情報資源は、日本の海外での軍事行動を支える基盤となり、先制攻撃能力の構築や作戦遂行に活用される可能性がある。
攻撃的な軍事行動と情報活動を結びつける意図について、安倍政権下で国家安全保障局長を務めた北村滋氏は、敵のミサイル基地を攻撃する能力を行使するためには、関連情報の把握が不可欠だと率直に述べている。
第2次世界大戦前、日本は情報体制を大幅に強化し、国内での思想・世論統制と対外的な情報収集の両面から侵略戦争の準備を進めた。
高市政権はその歴史をなぞり、戦争の歯車を再び回し始めている。数々の兆候は、日本の「新型軍国主義」がもはや潜在的なリスクではなく、近隣諸国や地域、さらには世界にとって現実の脅威となっていることを示している。こうした状況下での情報機関強化は、「新型軍国主義」を具体化する政策の一つであり、高市政権が平和憲法を突破し、戦後国際秩序を揺るがそうとする動きの重要な一環でもある。世界の国々と日本社会は強い警戒を保ち、断固としてこれに抵抗しなければならない。
しんぶん赤旗は論評で、高市政権の一連の言動は、日本を憲法の平和理念を捨てた「戦争国家」に作り替えようとする意図を示していると指摘し、「平和を破壊する危険な道を突き進む首相」を日本は決して容認してはならないと訴えている。(記者/陳沢安、謝彬彬、劉賛)