
「ドイツ企業の里」と呼ばれる江蘇省太倉市。(南京=新華社配信)
【新華社南京10月26日】中国の「第14次5カ年規画(2021~25年)」が始まって以来、多くの外資企業の対中投資は、かつて国内消費市場の潜在力に着目し商品を販売していた「モノを売る」ことから、中国の産業チェーンに深く入り込み「世界にサービスを提供する」という新たな段階を迎えている。
長江河口の南岸に位置する江蘇省太倉市は、独特の魅力によってドイツ企業560社余りを誘致し、投資総額は60億ドル(1ドル=約153円)を突破した。30年前に同市に進出した自動車部品メーカーのシェフラーは、わずか30人余りの小さな工場から、今や中国で従業員1万9千人、研究開発センター6カ所、工場17カ所を有する業界のトップ企業へと成長した。

江蘇省太倉市のシェフラー太倉製造拠点にある工場の外観。(南京=新華社配信)
シェフラー太倉製造拠点第5工場の楼峻峰(ろう・しゅんほう)工場長は「当初は技術を(海外から)導入していたが、今は製造と研究開発の現地化を掘り下げて推進している」と紹介。現時点で同社の中国エリアにおける自動車事業のサプライチェーン(供給網)現地化率は95%を超え、背景には中国の製造能力と研究開発能力に対する深い信頼があると述べた。
仏食品大手ダノン傘下のニュートリシア・ファーマシューティカル(無錫)は今月、同省無錫市のハイテク産業開発区で拡張プロジェクトが完成し、新たに複数の全自動滅菌生産ラインを増設した。全面稼働すれば、無錫工場の経腸栄養懸濁液の総生産能力は倍増する。ダノンのアガルワル最高執行責任者(COO)は同拠点について「わが社のグローバルサプライチェーンの一翼を担い、完成すればわが社にとって世界で最も先進的な工場の一つとなる」とした上で「ダノン中国のサプライチェーンの強靭(きょうじん)性を高めるだけでなく、世界市場に高品質な製品をより効率的かつ安定的に提供する助けとなる」と語った。

江蘇省無錫市のハイテク産業開発区内にある、ニュートリシア・ファーマシューティカル(無錫)の外観。(南京=新華社配信)
無錫ハイテク産業開発区は長江デルタ地域(上海・江蘇・浙江・安徽1市3省)における「日系企業の集積地」で、現在日系企業230社余りが進出している。日本のフィルム・包装材メーカーのZACROSはこのほど、開発区に高性能液体容器の製造工場を設立した。100年以上の歴史を持つ同社が中国に生産拠点を置くのは、これが初めてとなる。
江蘇省の2021~24年の外資導入額は実行ベースで累計1千億ドルを超え、これまでに外資企業4万3千社が集積している。第14次5カ年規画が始まって以降、上海市のハイテク製造業における外資誘致は製造業全体の37・2%から75・4%に急増した。江蘇省の製造業やハイテク産業における実行ベースの外資導入額の割合も約4割を占める。中国で研究開発を進め、世界にサービスを提供するというモデルが、より多くの多国籍企業の共通認識となりつつある。

江蘇省無錫市のハイテク産業開発区内にある、ニュートリシア・ファーマシューティカル(無錫)の生産ライン。(南京=新華社配信)
独BMWは今年7月、南京市に中国初となる情報技術研究開発センターを設立した。同社にとってアジア最大の情報技術研究開発拠点でもある。
ドイツのボッシュと蘇州工業園区(工業パーク)は8月、今後5年間で100億元(1元=約21円)を投資して、スマート運転制御産業の革新研究開発拠点を建設する契約を締結した。新たなプロジェクトにより、自動車産業のスマート化のアップグレードが加速し、技術の成果が世界市場に発信されていく。(記者/何磊静)

江蘇省蘇州市の蘇州工業園区にある独光学機器大手、カールツァイス蘇州研究開発製造拠点の工場外観。(南京=新華社配信)