中原食品実験室と中国科学院が共同開発した「ハッピーヨーグルト」は、特許取得済みの菌株が人体の腸管上皮細胞を刺激し、セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン)を分泌させることで、腸脳軸の調節メカニズムを通じて気分を明るくしてくれる。(2024年12月27日撮影、漯河=新華社記者/劉力航)
【新華社北京10月16日】中国ではここ数年、「おいしい食べ物をより健康的に、健康によい食べ物をよりおいしく」という考えがトレンドとなっている。
気分が明るくなる「ハッピーヨーグルト」、独自の発酵技術で栄養の吸収率を高めた肉製品「発酵ソーセージ」、ホエイプロテイン(乳清タンパク質)を主原料に高品質なタンパク質を加えた中高年向け粉ミルクなど、「科学技術のエッセンス」が食品に取り入れられ、豊かな食生活に健康的で楽しい彩りを添えている。これらの「科学技術のエッセンス」は、河南省漯河(らが)市にある中原食品実験室で誕生した。
2022年に設立された同実験室は、食品産業の構造転換と高度化における重要な科学技術上のニーズに焦点を当てている。漯河市にある食品会社が製造するジャガイモ春雨は、粘りつきやすく、もろいという問題を抱えていた。専門家チームは何度も試験を重ね、粉末にタンパク質抽出物などを加えることで、ジャガイモ春雨の煮崩れしにくさを向上させ、よりコシがあり柔らかい食感を実現した。この実験室の支援により、同社の「薬食同源」製品はすでに200種類以上に達している。
四川省自貢市富順県の名物料理「富順豆花(ドウホワ、豆乳をゼリー状に固めたおやつ)」は、柔らかく、なめらかで、白く、香り高い味わいで、千年以上にわたり地元で愛されてきた。富順県はここ数年、西華大学未来食品現代産業学院と提携し、調理済み食品「即食豆花」の開発に取り組み、伝統的な豆花産業の生産モデルを「店内調理、店内提供」から「ファストフード」へと転換させた。現在、富順の「即食豆花」製造企業は、デジタル品質管理とトレーサビリティーを備えた豆花生産ラインを導入し、生産量は1日平均8千~1万個、年間売上高は500万元(1元=約21円)を超えている。
四川省自貢市富順県で調理済み食品「即食豆花(ドウホワ、豆乳をゼリー状に固めたおやつ)」を買い求める消費者。(自貢=新華社配信)
北京市農林科学院野菜研究所の王朝蓮(おう・ちょうれん)副研究員のチームが苦心して開発した青唐辛子「旋美32号」は、鮮やかな色合い、刺激的な辛さ、もちもちとした食感で、発売直後から大きな注目を集めた。
通常、新品種の開発には少なくとも6~8年かかるが、チームは効率を高めるため、中国北方地域で収穫を終えるとすぐに南方地域で植え付けし、わずか4年で新品種を生み出した。無数の試験と改良を経て、唐辛子の種子は全国的に広く普及し、さらに米国やメキシコなどの国々にも輸出されている。
畑にびっしりと育つ、北京市農林科学院野菜研究所の王朝蓮(おう・ちょうれん)副研究員のチームが苦心して開発した青唐辛子「旋美32号」。鮮やかな色合い、刺激的な辛さ、もちもちとした食感を持つ。(北京=新華社配信)
未来の食品とは、伝統食品や現代食品を発展させたもので、その主な役割は食料の供給と品質、食品の安全性と栄養、食生活のあり方や精神的な楽しみといった課題の解決にある。
江蘇省の無錫未来食品産業研究院にある健康油脂・タンパク質食品企業協調イノベーションセンターで働くスタッフ。(2024年9月9日撮影、無錫=新華社記者/楊磊)
北京食品科学研究院の首席専門家、王守偉(おう・しゅい)氏は、未来の食品は科学的消費と精密栄養学により一層重点を置き、個々のニーズに応じてカスタマイズ設計され、おいしさ、美しい見た目、そして栄養の完璧な融合が実現すると考えている。
中国農業大学食品科学・栄養工程学院の郭順堂(かく・じゅんどう)教授は、伝統的な消費理念と現代的な消費理念および技術の融合が、今後の中国の食品発展における強みと特色になるとの考えを示した。
野菜料理1皿、ご飯1杯、食事や飲み物一つ一つに人類の幸福が込められている。ますます多くの「中国の提案」が世界に示され、人類の食糧安全保障と生命の健康に新たな貢献を果たしている。(記者/沈氷潔)