科学者が撮影したデラニヤガラオウギハクジラ。(資料写真、海口=新華社配信)
【新華社海口3月6日】海棲哺乳類に関する国際学術誌「マリン・マンマル・サイエンス(Marine Mammal Science)」は今年同時期に、デラニヤガラオウギハクジラに関する論文を3本掲載した。これは世界の学術界が同鯨類の実在を認めたことを意味する。
アカボウクジラ科は鯨類研究における最大の謎の一つとされる。主に水深千メートルを超える深海に生息、隠れて行動し、近付くことも難しい上、群れをなして出現することはほぼない。デラニヤガラオウギハクジラは1963年に命名、種が同定されて以降、世界で生きた状態での観察記録はなく、科学者の間でもこのクジラについてはほとんど何も知られていない。
デラニヤガラオウギハクジラの研究用写真。(資料写真、海口=新華社配信)
中国科学院深海科学・工程研究所の李松海(り・しょうかい)研究員の研究チームは2019年から23年にかけて、南中国海の海域で6回にわたって海洋調査を実施。クジラの皮膚標本をつぶさに採取し、鳴音信号を記録して写真を撮影した。DNA検査や鳴音解析、外観識別を組み合わせ、野生のデラニヤガラオウギハクジラの種の実態を初めて確認し、南中国海海域に生息していることを明らかにした。研究成果は昨年末に国際学術誌「アイサイエンス」に掲載された。
李氏は、デラニヤガラオウギハクジラは中国の海域で記録された5番目のアカボウクジラ科になると説明。この研究は、クジラの分布範囲や進化の歴史、近縁関係について理解を深め、深海生物学研究や深海生態系の評価に資すると語った。(記者/陳凱姿)
デラニヤガラオウギハクジラの研究用写真。(資料写真、海口=新華社配信)
デラニヤガラオウギハクジラの研究用写真。(資料写真、海口=新華社配信)