盤竜城遺跡で発見された石積み建築の遺構。(武漢=新華社配信)
【新華社武漢1月31日】中国湖北省武漢市にある商(殷)の時代の都市遺跡、盤竜城遺跡の考古学発掘調査の最新成果がこのほど、同市で行われた専門家による討論会で発表された。これによると、同遺跡で発見された石積み建築の遺構は、夏商時代の同類の大規模遺構としては長江流域で初めて発見されたもので、大規模な動員の必要なプロジェクトに属し、組織者の比較的高い社会的地位を示しているという。
3500年余り前に創建された同遺跡は武漢市西北の郊外、長江の支流である府河の北岸に位置し、長江流域で初めて発見された殷代の都市遺跡とされる。1954年の発見以来、長期的かつ体系的な考古学調査を経て、城垣、宮殿の基壇の遺構、李家嘴貴族墓などの遺構や、大量の青銅器、玉器、陶器などの貴重な遺物が相次いで見つかり、盤竜城が夏商時代に中原文化が南へと拡張するプロセスにおいて中心的な集落であったことを裏付けている。
同遺跡ではここ10年、大規模遺跡の考古学的保護や集落考古学などのさまざまな理念に基づき、考古学調査の新たな探求が展開され、最近も重要な成果が上がっている。楊家湾の北斜面では、方向と形状が比較的明確な大型の帯状の石積み建築の遺構が初めて発見された。年代は商代中期で、紀元前1300年から紀元前1200年にかけて存在したものとみられる。
遺構が見つかった楊家湾エリアでは、大小さまざまな石からなる石積みの遺構をはっきりと見ることできる。すでに発掘された部分の長さは東西約81メートル、幅は最も広いところで約5メートル。考古学プロジェクトの責任者を務める武漢大学歴史学院の孫卓(そん・たく)準教授は「夏商時代の大規模な石積み建築の遺構が長江流域で発見されたのは初めてだ。全長は600メートルに上るとみられ、公共または防御の機能があったと推測される」と語る。
石積みの建築物はこれまで、石峁遺跡など北方地域の遺跡に見られる建築様式と考えられていた。長江中流の盤竜城遺跡で発見されたことは、長江文明の起源の研究にも影響する。この石積みの構造物の性質と機能を調べるため、専門家数十人がすでに発見現場に赴き、論証を行っている。
中国考古学会理事長で中国社会科学院考古研究所研究員の陳星燦(ちん・せいさん)氏によると、今回行われた討論会ではこの石積み建築の機能について「城壁説」「斜面保護説」「建築遺構説」などの推測が提起されたと紹介。商代中期の盤竜城遺跡のさまざまな遺構の関係性などの問題を一段と探求するための新たな考え方を提示する発見になったと指摘した。(記者/喩珮)