重慶市石柱トゥチャ族自治県で開催されたジュンサイ摘み大会。(重慶=新華社配信)
【新華社重慶1月23日】中国重慶市の石柱トゥチャ族自治県にある食品メーカー、重慶市水火土食品産業の作業場ではこのところ、ジュンサイを原料にしたカップ食品の生産ラインが忙しく稼働し、製品が整然と箱詰めされている。透明なパッケージからはジュンサイのヌメリが透き通ったゼリーのように見える。同製品は間もなく海を渡り、日本のスーパーマーケットの棚に並ぶことになる。
同社はこのほど、日本の貿易会社、株式会社ASと農産物の受注契約を交わした。重慶市水火土食品産業の李穎(り・えい)董事長は、「私たちは輸出向けのジュンサイ製品専用に新たな生産ラインを立ち上げた。現在、日本へ初めて輸出する製品を生産しているところで、順調に行けば春節前後に 日本に到着する」と見通しを述べた。
重慶市石柱トゥチャ族自治県で、栽培農家の人が摘んだばかりのジュンサイ。(重慶=新華社配信)
株式会社ASの于文航(う・ぶんこう)代表取締役は最初の製品の完成状況を確認するため同県を訪れ、「日本人はゼリーが大好き。ジュンサイを食べた時の口当たりは、ゼリーによく似ており、日本人の消費習慣に合うと思う」と語った。
ジュンサイは水生植物で非常にデリケート。水質や環境が汚染されていると成長できない。さまざまなアミノ酸や微量元素を豊富に含むため、「水中の高麗人参」と呼ばれる。同県は恵まれた水質や気候などの条件を生かし、ジュンサイ産業を継続的に拡大、強化しており、栽培面積は1万4千ムー(約933ヘクタール)に上る。
重慶市石柱トゥチャ族自治県のジュンサイ栽培地。(重慶=新華社配信)
李氏は「ジュンサイの貴重さは、葉を包むゼラチン質の粘質物にある。摘み取るとゼラチン質が流れ出てしまうため、摘み取った後はすぐに処理しなければならない」と指摘。以前は鮮度を保つため、摘み取ってすぐに熱湯でゼラチン質を固めてから氷酢酸に浸すのが業界で一般的だったが、この方法だと食べる前に脱酸処理をする必要があり非常に面倒だった。
李氏は研究を経て、高温殺菌鮮度保持技術を用いることにより、長距離輸送後でもジュンサイを食べられることを確認。西南大学などの大学や科学研究機関の専門家を招いて指導を受け、何度も実験を重ねて、ついに賞味期限が1年の即食ジュンサイのカップ食品「膠原蒓露」を開発した。
于氏は、「最初の製品が日本に到着したら、『高級ゼリー』として店頭に並べるつもりだ」と述べた。于氏の会社は日本国内のチェーンスーパーマーケット3社の1200店舗以上に食材を供給している。(記者/趙佳楽、呉燕霞、楊仕彦)