米首都ワシントンのホワイトハウス。(2022年1月19日撮影、ワシントン=新華社配信/沈霆)
【新華社北京12月18日】中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は11月にペルーの首都リマで行われた中米首脳会談で、台湾問題、民主・人権、路線と制度、発展の権利は越えてはならない中国の四つのレッドラインだと強調した。中国の引いたこの四つのレッドラインは、自国の利益を守る断固とした決意を伝えるものであり、中米が意見の相違を適切に処理し、二国間関係の発展を維持するための最も重要なガードレールとなり、セーフティーネットとなる。
四つのレッドラインは、中米関係という大きな建物の土台を形成している。中国と米国は二つの大国であり、多少の意見の相違や矛盾は避けられないが、互いの核心的利益を損なってはならず、ましてや衝突や対立を引き起こしてはならない。中米関係の発展はこれまで曲折に遭遇してきたが、その責任ははっきりしている。中国の核心的利益に関わるこれらの問題をめぐって米国が挑発を繰り返したからこそ、中米関係は国交樹立以来最も低い水準にまで冷え込んだ。歴史の教訓を学ぶ必要がある。米政権が移行期にある今、ようやくこぎ着けた中米関係の回復基調を維持し、将来の中米関係の発展に良好な土台を築くため、これら四つのレッドラインは決して越えてはならない警戒線になる。
台湾問題は中国の核心的利益中の核心であり、中米関係における第一の越えてはならない一線である。「一つの中国」原則と中米間の三つの共同コミュニケは中米関係の政治的基礎であり、必ず順守しなければならない。台湾問題で妥協する余地は中国に一切ない。米国が台湾海峡の平和を維持したいのなら、頼清徳(らい・せいとく)と民進党当局の「台湾独立」の本性を見極め、台湾問題を慎重の上にも慎重に扱い、「台湾独立」に明確に反対し、中国の平和的統一を支持することが重要となる。台湾問題で一線を越えて代償を払わずに済むとはいかなる者も妄想すべきでない。
民主と人権に関しては、中米間に存在する具体的な意見の相違について対等な交流を前提に話し合うことはできるが、いわゆる「民主主義対権威主義」という偽りのナラティブを持ち出して分裂と対立をあおり、民主と人権を口実に相手国の内政に干渉することは許されない。
路線と制度に関しては、中国と米国は別々の道を歩んでいる以上、双方の違いを尊重すべきであり、同じであることを強い、相手方の制度を変えたり転覆しようとしすべきではない。中国と米国のどちらも相手を変えることはできない。
発展の権利に関しては、中国人民の発展の権利を奪うことはできず、無視することもできない。米国は中国の発展を客観的かつ理性的に捉え、受け入れるべきであり、貿易戦争や科学技術戦争に打って出たり、人為的に壁や障壁を築いたり、デカップリング(切り離し)やサプライチェーン(供給網)の分断を強行することは、他国にも自国にも不利益しかもたらさない。中国の発展は米国と世界にとってのチャンスであり、課題ではない。
四つのレッドラインは、米国側に誤った判断をしないよう注意を喚起するためのものである。中国は、中米関係の安定的で健全かつ持続可能な発展の推進に尽力するが、中米関係を改善するために核心的利益について譲歩することはない。習近平国家主席はこの会談で、自国の主権、安全保障、発展の利益を断固として守るという中国の立場に変わりはないと強調した。中国を「最も重要な戦略的競争相手」であり「最も重大な地政学的挑戦」と見ることは事実と完全にずれており、自分の預言を自分で実現することにしかならない。中米間にひとたび衝突と対立が生じれば、最終的には両国と世界各国の利益を損なうことになり、その代償を払うことは誰にもできない。
バイデン米大統領がこの会談で「米国は『新冷戦』を求めず、中国の体制変更を求めず、同盟の強化を通じて中国に対抗しようとせず、『台湾独立』を支持せず、中国との衝突の発生を求めず、台湾問題を利用して中国と競争しようとしない」と表明したことは、中米関係にとって前向きで有益なことであり、この約束をどうやって実践するかが鍵になる。中国と米国は大国の対立という古い歴史を繰り返してはならず、大国としての責任を示し、激動する世界に確実性と前向きなエネルギーを注入する必要がある。将来に向けては、米国がこの四つのレッドラインを厳格に守り、対立を対話に、衝突を協力に置き換え、中国と共に歩み寄り、中米関係という大きな建物の建設に力を注ぎ続けることを希望する。