初期地球の陸地に存在した温泉のイメージ図。(南京=新華社配信)
【新華社南京12月2日】中国科学院南京地質古生物研究所はこのほど、中国の科学者が率いる国際チームがシミュレーション実験を通じて、約38億~40億年前の初期の陸上温泉のような環境で、硫化鉄が熱触媒および光触媒作用によって二酸化炭素(CO2)を還元してメタノールを生成し、そこから地球上の生命の起源にとって鍵となる代謝経路に物質的な基盤が提供されたことを発見したと明らかにした。
同研究は、地球上の初期生命の起源を理解する上で新たな方向性を提供するもので、関連の研究結果は11月28日、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。
この研究に参加した同研究所の南景博(なん・けいはく)副研究員によると、地球上の初期生命の起源に関する仮説では、生命を育んだ可能性のある環境として、一般に深海底の熱水と陸上温泉の二つが想定されているが、従来の研究では、科学者の多くが初期生命は海底のアルカリ性の熱水噴出孔で誕生したと考えており、陸地の温泉式の蒸気環境に関する研究は比較的少なかった。
今回、研究チームは実験室で一連の環境シミュレーションを行い、80~120度の高温、強い紫外線照射、二酸化炭素と水素、硫化鉄が豊富に含まれるなど、初期の陸上温泉と類似の環境を作り出した。その結果、硫化鉄は二酸化炭素からメタノールへの変換を促す触媒として働くことが分かった。メタノールはその後のさらなる触媒作用によって、最古の代謝経路に必要なメチル基に変換され、生命の起源の基礎が築かれた可能性がある。
南氏は「この研究は、硫化鉄が地球初期の陸上温泉でいかにして二酸化炭素を有機分子に変換し、さらに生命の起源のための原材料を提供したかを示している。この発見は、生命の起源を探求するための新たな方向性を提供し、ひいては将来的に地球外の温泉環境における生命を探索する際の根拠を提供する」と語った。(記者/朱筱)