中国で開発の超解像顕微鏡、細胞間の大規模相互作用を可視化

中国で開発の超解像顕微鏡、細胞間の大規模相互作用を可視化

新華社 | 2024-09-19 13:57:32

RUSH3Dシステムのプロトタイプ(左)と、RUSH3Dと通常の顕微鏡の視野の比較(右)。(資料写真、北京=新華社配信)

  【新華社北京9月19日】人の体内では異なる細胞間で刻々と相互作用が発生しており、それらの観察は「メゾスコピック」と呼ばれる分野に含まれる。マクロスコピック(巨視的)とミクロスコピック(微視的)の中間(メゾ)に位置する領域を指し、生命科学の研究では、細胞間に起こる大規模で立体的な相互作用を広い視野と高い解像度で長期的に観察できることから、とりわけ重要となる。

  中国工程院院士(アカデミー会員)で清華大学信息科学技術学院院長の戴瓊海(たい・けいかい)教授が研究チームと共に10年以上をかけて開発した次世代型のメゾスコピック生物顕微鏡「RUSH3D」は、センチメートル級の3次元視野と単一細胞解像度を併せ持ち、毎秒最大20回の高速3Dイメージングで数十時間のパノラマ連続観測を実現。研究成果は13日、科学誌セルに掲載された。

実験室で研究チームと装置をテストする戴瓊海教授(中央)。(資料写真、北京=新華社配信)

  戴氏は、哺乳類の生体器官上でパノラマ的かつ長期間の高速3Dイメージング観測を世界で初めて実現したと説明。時間・空間スケールをまたぐイメージング能力は細胞間の大規模な相互作用を研究し、また脳科学や免疫学、薬学などの研究を促進するための新たな視点と手段になると述べた。

  清華大学自動化学部の呉嘉敏(ご・かびん)副教授は「これまではマウスの脳の特定領域など、器官の一部しか見ることができなかったが、今は100台の顕微鏡で同時に観測するのに等しい」と、RUSH3Dが現在の最先端の蛍光顕微鏡に比べ、同解像度で100倍近くのイメージング視野角と有効観測時間、数十倍の3Dイメージング速度を持つと強調。「生きたマウスの大脳皮質全体を完全にカバーし、10万個レベルのニューロンの動的相互作用プロセスを捉えることができ、脳の神経回路の動作メカニズム解明につながる」と期待を示した。

  RUSH3Dは既に国内の複数の大学や研究機関に導入され、腫瘍学や免疫学、脳科学などの分野の革新的研究を支えている。戴氏は「RUSH3Dの開発と量産は、メゾスコピックスケールでの複雑な生命現象の生体観測の空白を埋め、中国が生体メゾスコピック顕微鏡イメージングの分野で世界の第一線にあることを示した」と語った。(記者/魏夢佳)

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