腕足類と二枚貝類の5億年近くにわたる多様性変化を示した図。(武漢=新華社配信)
【新華社武漢9月13日】今から約2億5200万年前、地球では史上最大規模の大量絶滅が起こり、その後の海では現代型の生物が中生代・古生代型の生物に取って代わった。中でも二枚貝類は、腕足類から海洋生物群集を完全に引き継いだ。
二枚貝類と腕足類の「支配争い」はどうして起こったのか。中国地質大学(武漢)の陳中強(ちん・ちゅうきょう)教授のチームが国内外の研究者と協力し、高性能コンピューターを利用した古生態学的シミュレーション分析を行ったところ、大量絶滅と環境要素が両生物による海洋生物群集の支配的地位交代を引き起こした根本原因であることを突き止めた。研究結果はこのほど、国際的な学術誌ネイチャー・コミュニケーションズで発表された。
研究チームは高性能コンピューターを利用し、5億年近くにわたる化石記録33万件近くについてベイズ理論によるシミュレーション解析を行い、両生物の長時間スケールにおける出現と絶滅の速度を計算。ジュラ紀以前では似たような多様化速度の変化傾向を持つことを明らかにし、両者が主に環境事象の影響を受けたことを証明した。
研究チームは、各種生物的要因、非生物的要因と両生物の多様化速度の相関性についても多変量出生死滅モデルを利用したシミュレーション解析を実施。大量絶滅後の海洋生物の多様性の激減は両者の発生率の上昇を促したが、両者の間に顕著な競争関係が存在しなかったことを発見した。重要な転換期となる大量絶滅後の海水温度の急上昇が腕足類の生存と回復を制約したのに対し、二枚貝類は影響を受けなかったのは注目に値するとした。
今回の研究は、2億5200万年前の大量絶滅が腕足類に壊滅的な打撃を与え、腕足類と二枚貝類の多様性の逆転を引き起こし、さらに外的環境に対する両生物の耐性の差がこの逆転を加速させたことを明らかにした。
論文の筆頭著者、郭鎮(かく・ちん)氏は「研究は生物大進化の歴史に対する環境要素の形成作用を浮き彫りにした。地球規模で急速に変化する現在の気候環境の中で、いかにして生物を保護し、腕足類の悲劇を回避するかが差し迫った検討課題となっている」と語った。(記者/李偉、熊翔鶴)