中国の科学者、月面ステーション建設に関する研究開始へ

中国の科学者、月面ステーション建設に関する研究開始へ

新華社 | 2023-05-03 09:17:07

   4月24日、北京理工大学が受領した月の土壌サンプル。(北京=新華社記者/趙旭)

 【新華社北京5月3日】中国の北京理工大学はこのほど、国家航天局の承認を受けて月の土壌サンプル500ミリグラムを受領した。月探査機「嫦娥5号」が持ち帰ったサンプルで、月面ステーションの建設に向けた月土壌材料の特性分析と付加製造(3Dプリンティング)の技術研究に用いる。

 同大学機械・車両学院の沈俊(しん・しゅん)教授は、世界でも中国国内でも月面ステーション建設に関する計画があるとし、沈氏のチームはその事前研究を行うと説明。「月面ステーションの建設は月面に家を建てるのと同じだ。ロケットの積載能力や地球からの打ち上げコストの限界を考えれば可能な限り現地の材料を用いる必要がある。月の土壌は利用可能な主原料になる」と述べた。

 沈氏によると、研究は2段階に分けて行う。まずは月土壌の外観形状や光学特性、電磁気特性などの基本的物理特性を分析し、さらに土壌粒子表層の特性分析を通じて月土壌を用いた原材料とプロセス安定性を向上させる最適な調合プランを策定する。月土壌と混合して成形できる最適な材料を探し、最も優れた3Dプリント技術ソリューションを探求することで、月土壌を中核原料とするステーション建設に向けた理想的な道筋を組み立てる。

 月の土壌は一粒が貴重であり、500ミリグラムのサンプルを建設実験そのものに使うことはできない。研究チームは、地上の既存材料を使って月土壌材料をシミュレートし、月土壌の分析データと組み合わせて原材料の調合方法や建設工程パラメータを最適化させていく。

 中国の月の土壌サンプルは2021年7月12日に第1弾が配布されて以降、98の研究組織に対し5回に分け198サンプル計65・1グラムが配布されている。これらのサンプルを用いた研究は、月における若い火山の形成の解明、太陽風由来の水が含まれる可能性や新鉱物の発見など60以上の成果が国内外の学術誌に発表されている。(記者/趙旭)pagebreak

  4月24日、北京理工大学が受領した月の土壌サンプル。(北京=新華社記者/趙旭)

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